まさに街全体で地元チームをサポートしている。

　現地時間10月24日、オンタリオ州トロントのスコシアバンク・アリーナで行なわれたNBAトロント・ラプターズのホーム開幕戦。試合前のメディア対応の場で、ラプターズのダーコ・ラジャコビッチHC（ヘッドコーチ）は、MLBワールドシリーズに勝ち進んだトロント・ブルージェイズのキャップを被っていた。

　質問を受ける前にラジャコビッチHCは、「ラプターズについての質問はあるかい？」とジョーク。記者たちの関心が野球に向いていることを理解していた。

　この日、同じトロントのロジャース・センターにて、ブルージェイズとロサンゼルス・ドジャースのワールドシリーズが幕を開けた。そのため、ラプターズのグレイディ・ディックはブルージェイズのキャップ、ジェイミソン・バトル、アライジャ・マーティンらはユニフォームを着用して会場入りし、“兄弟チーム”にエールを送った。

　ラプターズはホーム初戦でミルウォーキー・バックスに116－122で敗れたが、チームは19時半だった試合開始時間を１時間早め、ブルージェイズの試合時間（20時開始）と重ならないよう配慮。

　第４クォーターに入ると、アリーナの大画面にブルージェイズの得点が何度も表示され、PAアナウンサーのハービー・クーンがドジャースの先制点を告げた際には会場からブーイングが巻き起こった。
  　ゲーム後には会場でワールドシリーズを放送。アディソン・バージャーがワールドシリーズ史上初の代打満塁本塁打を放つと、客席から大歓声が上がり、数千人のファンがブルージェイズの勝利の瞬間を見届けた。

　新シーズンが開幕したばかりのNBAと、最終決戦を迎えたMLB、注目度は明らかに後者が上だった。ラプターズもそれを理解し、タイムアウト中にブルージェイズの応援歌“OK Blue Jays”を流し、ファンも合唱。

　さらに、アメリカン・リーグ優勝決定シリーズ第７戦のジョージ・スプリンガーの逆転決勝３ランや、19年のラプターズ、カンファレンス準決勝のカワイ・レナードの決勝シュートなど、近年のトロントのスポーツチームの名場面をまとめた映像を流していた。

　あるラプターズファンは「ホームチームを応援するためにここにいるけど、心は向こう（ブルージェイズ）の試合にもある」と本音を吐露。

　この日会場に訪れたファンの多くはラプターズに声援を送りつつも、心はワールドシリーズにあったようだ。

構成●ダンクシュート編集部

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