現地８月29日、ボストン・レッドソックスがウォーカー・ビューラーを電撃解雇した。2024年にロサンゼルス・ドジャースでワールドシリーズ胴上げ投手となったビューラーは、１年2105万ドル（約31億円）でレッドソックスに加入。しかし、23試合（先発は22試合）に登板して７勝７敗、防御率5.45と、期待通りの活躍はできなかった。

『MLB.com』のイアン・ブラウン記者によると、レッドソックスのグレイグ・ブレズロウCBO（チーフ・ベースボール・オフィサー）は、ビューラーをDFA（実質の戦力外）ではなく、解雇とした理由をこのように語った。

「彼がどんな選手で、これまで何を成し遂げてきた実績を尊重した。現時点で彼を扱う最も公平な方法だと思ったんだ。球団として、本当に難しい決断だった」

　通常は、戦力外の選手を即解雇ではなくDFAとして移籍先を探すケースが多い。しかし、ビューラーが短時間で次の移籍先を見つけやすいように、レッドソックスはDFAのプロセスを省いてすぐに解雇とする“温情”の選択をした。９月１日までに次の球団と契約すれば、ポストシーズンに出場できる権利を得るためだ。

　先発として成績が振るわなかったビューラーは、８月22日にブルペンに配置転換となっていた。「ビューラーの状況を変え、リリーバーとして貢献してもらったほうがいいと思った。シーズン終盤に重要なアウトを取る新しい役割に慣れてもらいたかった」と説明したブレズロウCBOは、一方で「しかし、状況が変わった。リチャード・フィッツが負傷したため、急遽、先発投手が必要になった。現時点で、この選択（ビューラーの解雇と有望株ペイトン・トールの昇格）がベストだと判断した」と明かした。
  　ビューラーの電撃解雇に、古巣ドジャース関連メディアが一斉に反応。『Dodgers Way』は「元ドジャースの英雄が、新チームで苦戦。先発からリリーフとなり、そして解雇となった。もしかしたら、ポストシーズンに間に合うように、ドジャースがふたたび獲得するかもしれない」とワールドシリーズ胴上げ投手の復帰を示唆。「リーグ最低年俸で契約し、顔ぶれの揃う先発ではなく、ブルペンとしてリリーフの役割を担わせるかもしれない」と伝えている。

『Dodgers Nation』も「レッドソックスからビューラーが衝撃的な解雇。ドジャースは呼び戻すのか？」と題した記事を出し、「衝撃的な展開により、ビューラーはどの球団とも契約できる状態となた。９月１日までに契約すれば、ポストシーズンに出場できる」と報じた。それでも、ドジャースへの復帰は厳しいという見解を示している。

「状況的にドジャースは復帰させることが可能となった。マイナー契約であっても、９月１日までに加入すればポストシーズンに出場する資格を得られる。しかし、現状のドジャースの先発陣は健全な状況のため、ビューラーの居場所はない。リリーフとして加わる可能性はあり、ロサンゼルスに戻ってくるのは素晴らしいストーリーではあるが、現陣容に大きな怪我人でも出ない限り、ドジャースがイニングを任せるのは想像に難しい」

　24年のワールドシリーズ胴上げ投手は、どのようなキャリアを歩むのか。

構成●THE DIGEST編集部

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