10月29日(現地)、ドジャー・スタジアムでワールドシリーズ第3戦のプレーボールが告げられた時、球場は大ブーイングに包まれるに違いない。
ターゲットとなるのは、ブルージェイズのリードオフを務めるジョージ・スプリンガーだ。マリナーズとのアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ第7戦で逆転決勝3ランを放った36歳のベテランは、ドジャースファンにとってはまさに“不倶戴天の敵”なのである。
今から遡ること8年前、2017年のワールドシリーズは、29年ぶりの頂点を目指すドジャースと、球団創設以来初のワールドチャンピオンを狙うアストロズの対決となった。この時、ドジャースの前に立ちはだかったのが、当時アストロズに所属していたスプリンガーだった。
第2戦で本塁打を放つと、第4戦から4試合連続弾。第7戦では2回にダルビッシュ有から勝利を決定付ける3ランを放った。アストロズは4勝3敗でドジャースを下し、世界一を達成。スプリンガーは見事MVPに選ばれた。
しかし19年になって、アストロズが17~18年にかけてチームぐるみでサイン盗みを行っていたことが発覚する。本拠地球場のセンターに設置されたカメラの映像がアストロズのダグアウト裏のモニターに送られ、サインを解読した選手やスタッフが変化球が投じられる時にゴミ箱を叩いて知らせる、という仕組みだった。
17年のポストシーズンでも不正行為が行われていた可能性が高く、スプリンガーもその恩恵を受けていたと思われる。あるファンが17年のアストロズのレギュラーシーズンのホームゲーム58試合の映像から統計をとったところ、スプリンガーの打席では計140回にわたってゴミ箱を叩くような音が記録され、これはチームで2番目に多い数字だった。 それだけに、多くのドジャースファンが当時のアストロズ選手たちに恨み吃随となるのも無理もない。何しろ17年のワールドシリーズでドジャースが敗れた4試合のうち2試合が1点差、1試合が2点差という僅差だったのだから。
当時を知るドジャースの選手たちも同じだ。クレイトン・カーショウは昨年、「最強の1・2番コンビは誰か」という問いに対して17年のアストロズ世界一メンバーでもあるホゼ・アルトゥーベ、アレックス・ブレグマンの名前を挙げつつ、「だけど、あいつらはインチキしていたから」と語り、まだ遺恨が消えていないことを匂わせた。
不正行為に頼らずとも、スプリンガーが偉大な選手であることは間違いない。だが、ドジャースファンはそう思わないだろう。今回のワールドシリーズは、スプリンガーが過去の“汚点”と再び直面する舞台となりそうだ。
構成●SLUGGER編集部
ターゲットとなるのは、ブルージェイズのリードオフを務めるジョージ・スプリンガーだ。マリナーズとのアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ第7戦で逆転決勝3ランを放った36歳のベテランは、ドジャースファンにとってはまさに“不倶戴天の敵”なのである。
今から遡ること8年前、2017年のワールドシリーズは、29年ぶりの頂点を目指すドジャースと、球団創設以来初のワールドチャンピオンを狙うアストロズの対決となった。この時、ドジャースの前に立ちはだかったのが、当時アストロズに所属していたスプリンガーだった。
第2戦で本塁打を放つと、第4戦から4試合連続弾。第7戦では2回にダルビッシュ有から勝利を決定付ける3ランを放った。アストロズは4勝3敗でドジャースを下し、世界一を達成。スプリンガーは見事MVPに選ばれた。
しかし19年になって、アストロズが17~18年にかけてチームぐるみでサイン盗みを行っていたことが発覚する。本拠地球場のセンターに設置されたカメラの映像がアストロズのダグアウト裏のモニターに送られ、サインを解読した選手やスタッフが変化球が投じられる時にゴミ箱を叩いて知らせる、という仕組みだった。
17年のポストシーズンでも不正行為が行われていた可能性が高く、スプリンガーもその恩恵を受けていたと思われる。あるファンが17年のアストロズのレギュラーシーズンのホームゲーム58試合の映像から統計をとったところ、スプリンガーの打席では計140回にわたってゴミ箱を叩くような音が記録され、これはチームで2番目に多い数字だった。 それだけに、多くのドジャースファンが当時のアストロズ選手たちに恨み吃随となるのも無理もない。何しろ17年のワールドシリーズでドジャースが敗れた4試合のうち2試合が1点差、1試合が2点差という僅差だったのだから。
当時を知るドジャースの選手たちも同じだ。クレイトン・カーショウは昨年、「最強の1・2番コンビは誰か」という問いに対して17年のアストロズ世界一メンバーでもあるホゼ・アルトゥーベ、アレックス・ブレグマンの名前を挙げつつ、「だけど、あいつらはインチキしていたから」と語り、まだ遺恨が消えていないことを匂わせた。
不正行為に頼らずとも、スプリンガーが偉大な選手であることは間違いない。だが、ドジャースファンはそう思わないだろう。今回のワールドシリーズは、スプリンガーが過去の“汚点”と再び直面する舞台となりそうだ。
構成●SLUGGER編集部
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