いよいよ日本時間の明日、現地10月24日からワールドシリーズが始まる。ドジャースとブルージェイズの対決となった2025年MLBの頂上決戦の見どころを紹介していこう。

　ブルージェイズがドジャース打線で最も警戒すべきすべき人物と言えば、当然ながら大谷翔平だ。

　ナショナル・リーグ優勝決定シリーズ第４戦では１試合３本塁打と大爆発したものの、その直前までは不振を囲っていた。それも、フィリーズやブルワーズが「大谷対策」に全力を傾けていたから。

　フィリーズはクリストファー・サンチェス、ヘスス・ルザード、レンジャー・スアレスの実力派先発左腕３人がまず大谷の立ちはだかり、ブルペンも大谷の場面でレフティのマット・ストラームやタナー・バンクスを投入するなど、左投手による大谷封じを徹底。その結果、シリーズ18打数１安打（打率.056）とほぼ完璧に抑えた。

　リーグ優勝決定シリーズで対戦したブルワーズも、第４戦こそ大爆発を許したものの、第３戦までは打率.182（11打数２安打）と大谷封じに成功していた。左腕のアーロン・アシュビーを初戦と第３戦でオープナーとして起用し、第２戦でも対大谷の場面で投入。それ以外も、可能な限り異なる投手を大谷と対戦させることで的を絞らせなかった。

　では、ブルージェイズの「大谷対策」はどのようなものになるのだろうか。ジョン・シュナイダー監督にとっての懸念材料は、フィリーズやブルワーズと違い、左の有効な切り札が少ないことだ。

　実は「大谷は腕の角度（アームアングル）が40度よりも低い投手に弱い」というデータがある。MLB.comによると、40度を境に大谷の対左腕成績は大きく変わるのだという。
  ▼アームアングル40度以上
打率.319　長打率.726　三振率24％

▼アームアングル40度未満
打率.238　長打率.347　三振率33％

　40度というと、スリークォーターよりもやや下がるくらい。大谷でなくとも、左打者にとっては厄介な角度ではある。ちなみにブルージェイズには、この条件に合致する投手が３人いる。スウイングマンのエリック・ラウアー（39度）、レギュラーシーズンでリーグ最多の79登板とフル回転したブレンドン・リトル（33度）、そしてルーキーのメイソン・フルハティ（33度）だ。

　もっとも、大谷はラウアーからシーズン中にもホームランを打っており苦手意識はないはず。ラウアー自身、ポストシーズンで精彩を欠いており、対大谷の切り札にはなり得ないだろう。シーズン中は68.1回で被本塁打２本のみと活躍したリトルも、ポストシーズンでは自慢のナックルカーブの制球が定まらず、大不振に陥っている。

　カッター、スイーパーを武器とするフルハティも、ポストシーズン4.1回で７三振を奪うも４失点。ただ、彼はシーズン中、１点リードの９回裏１死満塁というピンチで大谷から三振を奪っている。

　シュナイダー監督とすればこのフルハティ、そして100マイルの剛速球が武器の右腕ルイ・バーランドあたりを「対大谷要員」の中心と位置付けているじはずだが、。リトルが復調すればさらに手札は増える。実は「大谷対策」のカギを握っているのは、不振に苦しむ29歳のレフティかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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