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プロ野球

根尾が予想外に伸び悩んだ中日、村上一人の成功で低評価を覆したヤクルト……なぜドラフト直後の採点と実際の結果は乖離するのか<SLUGGER>

西尾典文

2025.11.06

鳴り物入りでプロ入りした根尾だが、22年に投手へ転向。その後も伸び悩みが続いている。写真:THE DIGEST写真部

鳴り物入りでプロ入りした根尾だが、22年に投手へ転向。その後も伸び悩みが続いている。写真:THE DIGEST写真部


 2025年のドラフト会議も終わり、支配下で73人、育成で43人の合計116人が指名を受けた。そして毎年おなじみとなっているのが、各球団の指名に対する評価で、筆者も2017年からAERA DIGITALでドラフト採点についての記事を寄稿している。採点基準は●評価が高い選手を指名できたか ●その順位として妥当な選手を指名したか ●補強ポイントとなるポジションや即戦力と将来性のバランスから見てチームの状況に適した指名だったか ●チーム強化の方針が明確だったかという観点から総合的に判断しており、毎年上位のチームは100~85点、下位のチームは50~60点という点数となっている。

 しかし、「ドラフトの結果が分かるのは数年後」とよく言われるように、悪い意味でも良い意味でも期待を裏切ることとなった指名は確かに存在している。そんな指名についていくつか例を挙げ、なぜその評価となったのか、なぜ指名直後の評価とは異なる結果となったのかについての要因を探ってみたいと思う。対象は2017年から2022年のドラフトとした。

 まず、ドラフト会議後の評価が低かったにもかかわらず、結果として成功となったケースとしては以下の3例があった。

▼2017年ヤクルト 採点:55点
主な成功選手:村上宗隆(1位)、塩見泰隆(4位)

▼2018年阪神 採点:55点
主な成功選手:近本光司(1位)、木浪聖也(3位)

▼2018年オリックス 採点:55点
主な成功選手:太田椋(1位)、頓宮裕真(2位)、中川圭太(7位)
 
 17年のヤクルトは全体で10位タイの55点。低く評価した理由としては、1位の村上ではなく投手の指名に疑問が残ったからだ。当時の記事には「清宮(幸太郎/日本ハム1位)を外して高校生捕手の村上に向かい、チームのスケールを大きくしようという意図は感じられた。手薄なショートと外野手も実力者を獲得し、野手については悪くない指名である。しかし危機的な状況である投手陣については4人を指名したものの、間違いなく即戦力と太鼓判を押せる選手は見当たらない。他の選択肢もあったのではという疑問の残る指名がマイナスポイントとなり低い評価となった」と書かれている。実際その評価通り、投手は2位の大下佑馬、3位の蔵本治孝がともに戦力にならなかった。成功の要因としては村上がそれを補って余りある活躍を見せたことが大きいと言えるだろう。

 18年の阪神については1位の近本、2位の小幡竜平、3位の木浪の全員がリードオフマンタイプだったことが低評価の理由である。この年のチーム成績を見るとホームランの上位は糸井嘉男(当時37歳)、福留孝介(当時41歳)の大ベテラン2人であり、若手で長打が期待できるのは2年目の大山悠輔くらいだった。それを考えるともう少し長打力のある選手に目を向けるべきだったのではないか、という観点から採点が辛くなった。しかし、“外れ外れ1位”の近本がリーグを代表する外野手へと成長し、木浪もショートとして十分な働きを見せ、その後の2度のリーグ優勝につながることとなった。

 18年のオリックスは1位で小園海斗(広島1位)を外し、そこまで評価が高いとみられていなかった太田を指名したことと、5位でも高校生遊撃手の宜保翔を重ねたことが低評価の原因だ。この前年にも福田周平、山足達也、廣澤伸哉とリードオフマンタイプのショートを3人指名していることから、この指名には疑問が残った。ただし、太田は時間はかかったものの主力へと成長。さらに2位の頓宮、7位の中川も中心選手となったことで、全体的には成功のドラフトとなった印象だ。

 こうしてみると、上の3チームは村上、近本、太田と、外れ1位や外れ外れ1位が活躍したことが大きい。特に阪神はこの後も森下翔太(22年1位)、伊原陵人(24年1位)と外れ1位が活躍しており、お家芸となっている印象だ。1位で抽選を外した後の選択が重要だということがよく分かる結果と言えるだろう。

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