メジャーデビュー以来、大谷翔平(エンジェルス)は40本のホームランを打ち、6本のホームランを打たれた。ジャスティン・バーランダー(アストロズ)やマイク・クレベンジャー(インディアンス)ら、4人から2本塁打ずつを記録しているので、打った相手は36人だ。被本塁打2本以上はおらず、打たれた相手は本数と同じ6人。そして、この両方=大谷にホームランを打たれて大谷からホームランを打った選手、はその順序を問わず、まだ誰もいない。
大谷からホームランを打ったことのある6人が、これから大谷にホームランを打たれる可能性はほとんどゼロだ。ムーキー・ベッツ(ドジャース)をはじめ、彼らはいずれも野手である。今シーズンから、野手が自由に登板することはできなくなった。また、6人中5人は登板経験なし。ジョニー・フィールドは1登板しているが、現在はどの球団にも所属していない。
一方、大谷にホームランを打たれた36人(全員投手)のうち、大谷以外からホームランを打っているのは以下の5人だ。大谷を相手に、本塁打と被本塁打の両方を記録する最初の選手は、リーチをかけている彼らの中から出てきてもおかしくない。
マイク・リーク(ダイヤモンドバックス) 通算6本塁打
マイク・マイナー(レンジャーズ) 通算2本塁打
エドウィン・ジャクソン(ダイヤモンドバックス) 通算2本塁打
前田健太(ツインズ) 通算1本塁打
ジョン・グレイ(ロッキーズ) 通算1本塁打
けれども、マイナーと前田はナ・リーグの球団へ移らない限り、打席に立って投手・大谷と対戦することはない。また、ほかの3人はナ・リーグの球団に在籍しているものの、今シーズンのエンジェルスはどの球団とも対戦しない。
ただ、投手・大谷が復帰する予定の5月中旬以降に限っても、エンジェルスはナ・リーグの本拠地で8試合を行う。これらの試合はDHがないので、登板する場合、大谷は打席にも立つ。大谷と、彼と投げ合う投手が、互いにホームランを打ち合う(打たれ合う)可能性があるということだ。そうなると、8年ぶりの椿事。2012年7月21日のジャイアンツ対フィリーズで、先発登板したマット・ケインとコール・ハメルズ(現ブレーブス)が、3回表と裏にそれぞれ打ったのが最後だ。
その当事者の一人であるハメルズは通算2本塁打で、彼のいるブレーブスは7月3~5日に本拠地でエンジェルスと当たる。また、同月17~19日にエンジェルスがアウェーで戦うフィリーズの先発投手陣には、通算6本塁打のジェイク・アリエタと1本塁打ながら打率.224(134打数30安打)のビンス・ベラスケスがいる。他にも、ジョー・マッドン監督がDHを解除すれば、大谷の"リアル二刀流"は、さらに多くの試合で実現する可能性がある。
ちなみに、ベーブ・ルースにホームランを打たれた選手は216人(計714本)、ルースからホームランを打った選手は8人(計10本)だった。その中に、両方という選手はいなかった。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
大谷からホームランを打ったことのある6人が、これから大谷にホームランを打たれる可能性はほとんどゼロだ。ムーキー・ベッツ(ドジャース)をはじめ、彼らはいずれも野手である。今シーズンから、野手が自由に登板することはできなくなった。また、6人中5人は登板経験なし。ジョニー・フィールドは1登板しているが、現在はどの球団にも所属していない。
一方、大谷にホームランを打たれた36人(全員投手)のうち、大谷以外からホームランを打っているのは以下の5人だ。大谷を相手に、本塁打と被本塁打の両方を記録する最初の選手は、リーチをかけている彼らの中から出てきてもおかしくない。
マイク・リーク(ダイヤモンドバックス) 通算6本塁打
マイク・マイナー(レンジャーズ) 通算2本塁打
エドウィン・ジャクソン(ダイヤモンドバックス) 通算2本塁打
前田健太(ツインズ) 通算1本塁打
ジョン・グレイ(ロッキーズ) 通算1本塁打
けれども、マイナーと前田はナ・リーグの球団へ移らない限り、打席に立って投手・大谷と対戦することはない。また、ほかの3人はナ・リーグの球団に在籍しているものの、今シーズンのエンジェルスはどの球団とも対戦しない。
ただ、投手・大谷が復帰する予定の5月中旬以降に限っても、エンジェルスはナ・リーグの本拠地で8試合を行う。これらの試合はDHがないので、登板する場合、大谷は打席にも立つ。大谷と、彼と投げ合う投手が、互いにホームランを打ち合う(打たれ合う)可能性があるということだ。そうなると、8年ぶりの椿事。2012年7月21日のジャイアンツ対フィリーズで、先発登板したマット・ケインとコール・ハメルズ(現ブレーブス)が、3回表と裏にそれぞれ打ったのが最後だ。
その当事者の一人であるハメルズは通算2本塁打で、彼のいるブレーブスは7月3~5日に本拠地でエンジェルスと当たる。また、同月17~19日にエンジェルスがアウェーで戦うフィリーズの先発投手陣には、通算6本塁打のジェイク・アリエタと1本塁打ながら打率.224(134打数30安打)のビンス・ベラスケスがいる。他にも、ジョー・マッドン監督がDHを解除すれば、大谷の"リアル二刀流"は、さらに多くの試合で実現する可能性がある。
ちなみに、ベーブ・ルースにホームランを打たれた選手は216人(計714本)、ルースからホームランを打った選手は8人(計10本)だった。その中に、両方という選手はいなかった。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。