プロ野球

「阪神のレギュラーで思い浮かぶ選手は誰?」OB掛布雅之氏が抱く危機感と「4番固定」の意義

花田雪

2020.02.29

阪神の新外国人選手、ボーア(左)とサンズ(右)。マルテ、大山とともに良い4番争いを繰り広げてほしいというのが掛布氏の願いだ。写真:朝日新聞社

 14年――。
 阪神タイガースがリーグ優勝から遠ざかっている年数だ。

 1980年代終盤から2000年代初頭まで最下位、Bクラスが定位置だった「暗黒時代」を経験し、2003年に実に18年ぶりのリーグ制覇。2005年にも優勝を果たし、以降はコンスタントにAクラスに顔を出しているが、頂点にはあと一歩届かない歯がゆいシーズンが続いている。

 矢野燿大新監督体制で迎えた昨季もシーズン最後の6連勝でクライマックスシリーズに滑り込んだが、1年間通して優勝争いに絡むようなシーンはなかった。
 
 ただ、チームの課題ははっきりしている。

 昨季はリーグ1位のチーム防御率3.46を記録した一方で、チーム得点はリーグ最下位、チーム本塁打はリーグ5位と典型的な「投高打低」。12球団屈指の投手陣を誇りながら、得点力不足に苦しんだ。

 これほどわかりやすい傾向が出ているだけに、チームの補強方針も実にシンプルだ。

 今季から「阪神・レジェンド・テラー(HTL)」に就任した掛布雅之氏が「阪神打線」についてこう話している。

「ジャスティン・ボーア、ジェリー・サンズという2人の外国人を獲得しましたが、ここに大山悠輔、ジェフリー・マルテを加えた4人で打線の核となる『4番』を争うことになる。昨季の阪神は大山が開幕から4番を任されましたが、正直に言うとまだ荷が重かった。本来であれば6番あたりを打たせて伸び伸びやらせてあげたいところだったが、他に打てる人間がいない。今季はまず4番をしっかりと固定できるか、そこに信頼できる打者を据えることができるかが、当面の課題になる」

 課題の打線を機能させるためには、まず軸となる4番を固定させるのが一番の近道だと掛布氏はいう。

さらにこう続ける。

「今、阪神のレギュラーは誰? と聞かれたらすぐに思い浮かぶ選手はいますか? いないでしょう。真っ先に名前が挙がるのは近本光司くらい。そこで昨年のルーキーの名前が挙がるようではいけない。優勝した巨人も、西武も、打線に『軸』となる選手がいる。いわゆる不動のレギュラー。そういった選手がいてはじめて、脇を固める選手や控えの選手などが生きてくる」
 
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