プロ野球

新型コロナ問題で日本以上に翻弄される韓国球界。OP戦全50試合が中止。外国人選手の半数は入韓を控え、戦力把握も難しい状況に

室井昌也

2020.03.13

LGの芹澤コーチは韓国の現況について、「江南(カンナム)地区は夜、人が全然いなかった。このままでは経済が心配」と話した。写真:ストライク・ゾーン

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、オープン戦が無観客試合となり、3月20日の開幕戦の延期が決まった日本のプロ野球。同様に海の向こうの韓国も新型コロナの影響を大きく受けている。

 3月14日から開催が予定されていたオープン戦は、リーグ発足39年目で初となる、全50試合の中止を決定。3月28日のシーズン開幕は、今月10日に行われた韓国野球委員会(KBO)の緊急理事会で4月への暫定延期が決定した。日韓どちらも先が読めない状況に悩まされているが、韓国はここまで、日本以上にこの問題に翻弄されてきた。

 2、3月と寒い韓国は全10球団が春季キャンプを海外で行っている。当初、各球団はオープン戦に合わせて今月上旬に韓国への帰国を予定していたが、オープン戦が中止になったことでキャンプ地での滞在延長を検討。球場使用や宿泊先の確保ができた球団は滞在期間を延ばし、オープン戦に代わる実戦練習をキャンプ地で継続することとなった。

 ところが今月6日に日韓両国から出入国規制が発表され、沖縄でキャンプを行うLGとサムスンは大混乱となった。9日以降の航空便で大半の運休が決まり、大慌てで出国せざるを得なくなったのだ。LGは7日、サムスンは8日にドタバタの中、帰国の途についた。
 
 LGの芹澤裕二バッテリーコーチは「当初の予定では沖縄キャンプが終わった後、東京に戻り、自宅に寄ってから韓国入りしようと思っていましたが、東京行きの便はキャンセルしてチームと一緒に韓国に入りました。もし1月に韓国に行った時に現地の外国人在留登録を済ませていなかったら、面倒なことになっていましたね」と話す。

 韓国の現況について芹澤コーチは、「沖縄からソウルに入ったが、(自宅がある)江南(カンナム)地区は夜、人が全然いなかった。このままでは経済が心配」と話した。

 一方でLGの3人の外国人選手はそれぞれの故郷に帰国。タイラー・ウィルソン、ケイシー・ケリーの両投手はアメリカへ、ロベルト・ラモス内野手はメキシコでそれぞれ調整を行っている。他の数球団でも外国人選手はシーズン開幕が決まるまで、韓国入国を控えている状況だ。