「センバツ名勝負5選を選んでほしい」。そう執筆の依頼を受け、かつての名勝負を回想しながら脳裏に浮かんだのは、「名勝負」と謳われる試合には接戦が多いことはもちろん、「熱投」であることがほとんどだという事実だ。
想起される試合は数多あるが、一人のジャーナリストとして思うのは、球児たちの将来を考えた時に、果たしてただの「名勝負」としていいのか、ということだ。熱戦を展開したことは事実だとしても、長期的な視点で見た時にやはり感動できない部分もある。
2003年からセンバツの取材をしてきたが、その点を留意しながら、取材を通して見つめたセンバツ名勝負を時系列に沿って振り返ってみた。
●第76回大会(2004年)準々決勝 済美(愛媛)7-6東北(宮城)
東北勢初の優勝を狙う東北はエースのダルビッシュ有(現シカゴ・カブス)を中心とした投手力を看板に、優勝候補の一角に挙げられていた。1回戦ではそのダルビッシュが熊本工を相手にノーヒッターを達成し、2回戦でも西の横綱・大阪桐蔭の強力打線を抑え込んだ。
だが、この日の先発はダルビッシュではなく真壁賢守。前年夏の甲子園でもダルビッシュとともに大舞台に立ち、準優勝に貢献した右のサイドハンドだ。
試合は1回表に東北が大沼尚平の3点本塁打で機先を制し、試合を優位に進めていた。中盤までに済美が2点を返すも、東北が6、8回に1点ずつを奪って6ー2とリード。済美はそれまでチームを支えてきた2年生エースの福井優也(現楽天)が8回で降板。いわば、東北の完勝ペースだった。
しかし、9回にドラマは起きた。
済美は先頭から2連打と内野ゴロの間に2点を返すと、2死から連打で一、二塁の好機を作りクリーンアップへとつなぐ。すると、3番・高橋勇丞が放った打球は左翼スタンドへ飛び込む起死回生のサヨナラ3ランとなったのだ。
想起される試合は数多あるが、一人のジャーナリストとして思うのは、球児たちの将来を考えた時に、果たしてただの「名勝負」としていいのか、ということだ。熱戦を展開したことは事実だとしても、長期的な視点で見た時にやはり感動できない部分もある。
2003年からセンバツの取材をしてきたが、その点を留意しながら、取材を通して見つめたセンバツ名勝負を時系列に沿って振り返ってみた。
●第76回大会(2004年)準々決勝 済美(愛媛)7-6東北(宮城)
東北勢初の優勝を狙う東北はエースのダルビッシュ有(現シカゴ・カブス)を中心とした投手力を看板に、優勝候補の一角に挙げられていた。1回戦ではそのダルビッシュが熊本工を相手にノーヒッターを達成し、2回戦でも西の横綱・大阪桐蔭の強力打線を抑え込んだ。
だが、この日の先発はダルビッシュではなく真壁賢守。前年夏の甲子園でもダルビッシュとともに大舞台に立ち、準優勝に貢献した右のサイドハンドだ。
試合は1回表に東北が大沼尚平の3点本塁打で機先を制し、試合を優位に進めていた。中盤までに済美が2点を返すも、東北が6、8回に1点ずつを奪って6ー2とリード。済美はそれまでチームを支えてきた2年生エースの福井優也(現楽天)が8回で降板。いわば、東北の完勝ペースだった。
しかし、9回にドラマは起きた。
済美は先頭から2連打と内野ゴロの間に2点を返すと、2死から連打で一、二塁の好機を作りクリーンアップへとつなぐ。すると、3番・高橋勇丞が放った打球は左翼スタンドへ飛び込む起死回生のサヨナラ3ランとなったのだ。