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高校野球

【氏原英明が選ぶセンバツ名勝負5選:後編】今村vs雄星。対照的な2人の好投手が決勝で熱投を演じた第81回大会

氏原英明

2020.04.04

岩手県勢として初の決勝、東北初の優勝を目指した菊池。今村と素晴らしい投手戦を演じたが、最後は涙を呑んだ。(写真)朝日新聞社

岩手県勢として初の決勝、東北初の優勝を目指した菊池。今村と素晴らしい投手戦を演じたが、最後は涙を呑んだ。(写真)朝日新聞社

●第81回大会(2009年)決勝戦 清峰(長崎)1-0花巻東(岩手)

 1年生にして夏の甲子園を経験した菊池雄星(現シアトル・マリナーズ)。2年夏の甲子園で150キロのストレートを披露して有名になった今村猛(現広島)。世代を代表する2人の好投手が決勝の舞台で熱戦を演じた。

 もちろん、大会前から両投手は注目されていたが、まさか決勝まで勝ち上がるとは想像できなかった。何せ、大会前の時点で長崎県も岩手県もセンバツ優勝校を出していなかったのだ。

 さらに、両者の準決勝までの投球がまた凄まじかった。

 準決勝までに失った点は今村が1、菊池が2。今村が1回戦から準決勝の報徳学園戦で失点するまで33イニング連続無失点を記録すれば、菊池も24イニング連続無失点と絶好調。投手同士の決勝戦だったというわけである。

 試合は清峰が7回に挙げた1点を守り切り、今村の勝利。全力投球を避け、淡々と投げる今村と、1球1球全力投球を心がけ、ガッツポーズを連発する菊池という対照的な投げ合いだった。
 
 試合は清峰が7回に挙げた1点を守り切り、今村の勝利。全力投球を避け、淡々と投げる今村と、1球1球全力投球を心がけ、ガッツポーズを連発する菊池という対照的な投げ合いだった。

 ゲームセットの瞬間、二塁走者だった菊池が届かなかったホームベースを踏んで清峰の歓喜の瞬間を見届けていた姿も印象深い。

 この大会は好投手の活躍が多いことも特徴だった。興南(沖縄)のエース・島袋洋奨(元ソフトバンク)は1回戦の富山商戦で19奪三振。PL学園(大阪)のエース中野隆之は2回戦の南陽工(岡山)戦で9回まで無安打無得点。延長戦の末に敗れたが、大記録に迫る快投を見せた。

 今村、菊池による白熱した投手戦は、そんな大会の総仕上げと呼べるような一戦だった。
 
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