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MLB

ジャッキー・ロビンソンはなぜ偉大なのか。日本のパイオニアともつながる共通点とは?

2020.04.16

球界最大の偉人と言っても過言ではないロビンソン。彼と日本が誇る2人のパイオニアは共通点がある。(C)Getty Images

球界最大の偉人と言っても過言ではないロビンソン。彼と日本が誇る2人のパイオニアは共通点がある。(C)Getty Images

 4月15日はジャッキー・ロビンソンがMLB史上初の黒人プレーヤーとしてメジャーデビューを果たした日。今年は新型コロナウイルスによる開幕延期で実現しなかったけれども、球界そしてアメリカ社会をも変えたロビンソンの業績を称え、毎年すべてのメジャーリーガーが背番号「42」を付けて試合に出場する。

 本稿ではジャッキー・ロビンソンについてのトリビアと、日本が誇る2人のメジャーリーガーとの接点を紹介しよう。

①なぜロビンソンが選ばれたのか
 先に「MLB史上初の」と記したが、厳密にはロビンソンは初の黒人プレーヤーではない。19世紀にはウォーカー兄弟という黒人選手がいたという資料もある。1862年に奴隷解放制限が発布されて間もなく発足されたメジャーリーグでは、黒人選手のプレーを禁止するルールこそなかったが、球団間の"紳士協定"によって締め出されていた。そのため、黒人だけのニグロリーグが発足し、“本物”のメジャーリーガーに勝るとも劣らない選手が数多く活躍した。

 1946年、ブルックリン(現ロサンゼルス)・ドジャースのブランチ・リッキーGMが、チームの戦力向上を図る目的で黒人選手に目を付けた。第二次世界大戦で黒人たちが勇敢に戦ったことで、球界でも黒人選手を許容する雰囲気が徐々にではあるが醸成されつつあった。
 
 また、最も優れた黒人選手と契約すればいい、という単純な話にはならなかった。実際に入団とするとなれば、あらゆる方面から嫌がらせなどを受けるのは間違いない。もしこれに怒って暴力沙汰などを起こせば、黒人選手は二度とメジャーリーグでプレーする機会を失うだろう。リッキーは実力はもちろんのこと、卓越した忍耐力を持つ選手を探していた。

 この2つの条件を備えていたのが、名門UCLAで野球やフットボール、陸上競技でも活躍したアスリートで、かつ陸軍士官学校で優秀な成績を残すなど精神面の強さにも定評があったロビンソンだったのである。

 入団交渉の際、リッキーはわざとロビンソンに考えつく限りのありとあらゆる罵詈雑言を浴びせた。ロビンソンが思わず「あなたは弱虫がお望みなのですか」と言うと、リッキーが「いや、反撃しない勇気を持つ者が欲しいのだ」と答えたエピソードはあまりにも有名だ。

 果たして、リッキーの狙いは的中した。ロビンソンは行く先々で野次や嫌がらせ、時には殺害予告も受けたが、自分に続く同胞たちのためにひたすら耐え続けた。そして、メジャー1年目からリーグ最多の29盗塁、打率.297の好成績を残し、この年から制定された新人王を受賞。黒人選手の実力を証明してみせたのだ。

 メジャーでは10年プレーして出場1308試合、打率.311、1518安打、137本塁打、197盗塁と圧倒的な成績を残したわけではない。しかし、ロビンソンのおかげでMLBはもちろん他のスポーツ界、さらにアメリカ社会全体でも黒人の地位向上が図られるようになっていった。1999年、『タイム』誌が「20世紀の最も重要な100人」を選出した際、アルベルト・アインシュタインやマハトマ・ガンジーらとともにロビンソンが選ばれたのは当然の結果だろう。
 
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