プロ野球

“ハマの新助っ人”オースティンはなぜ日本に来たのか?米メディアの独占取材に本音を明かす

2020.04.23

ヤンキース期待の大砲と目されたオースティンが日本に来た理由は「価値の証明」だった。(C)Getty Images

 新型コロナウイルス感染拡大により、開幕の見通しが立っていないプロ野球。選手もファンも不安に襲われる日々だが、今季から新たに日本でプレーすることになる助っ人外国人選手となれば、その不安は一層強いものになるだろう。異国の地、異国の文化、異国の言語……。果たして、彼らはどのように過ごしているのだろうか。

 今季から横浜DeNAベイスターズに加入したタイラー・オースティンを、ニュージャージー州最大のニュースサイト『NJ.com』が独占取材。元有望株の彼がなぜ日本への移籍を決め、また現在どのように過ごしているのかなどをインタビューした。

「3Aでどれだけ活躍したとしても、俺のキャリアは少ししか戻らないことは分かっていたんだ」

 オースティンはニューヨーク・ヤンキース在籍当時、右の大砲として期待されていた。2016年、メジャーデビュー戦の第1打席で本塁打を放つと、続くアーロン・ジャッジも初打席でホームラン。メジャーデビューの2人が、2者連続初本塁打という史上初の快挙を成し遂げるなど、オースティンはジャッジ、強打の捕手ゲリー・サンチェス、グレッグ・バードとともに"ブロンクス・ボンバーズ"として注目される存在だった。

 しかし、ともにデビューしたジャッジが翌17年、本塁打王を獲得するなど球界を代表する選手に成長した一方で、オースティンは故障や自らの粗い打撃もあってレギュラー定着を逃す。18年途中にヤンキースを放出されて以降は4球団を渡り歩き、昨オフにFAとなった。
 
 28歳という選手としても働き盛りの時期に差し掛かり、それでもマイナーに残ってチャンスを待つのがいいのか、それとも一から賭けに出るのか。「自分の価値を証明したい」。オースティンは後者を選んだ。

 年が明け、オープン戦で全体1位の4本塁打、打率.347と大活躍して横浜ファンを大いに喜ばせていた矢先、新型コロナウイルス感染拡大により開幕延期。真価の証明にあたっては、水を差される形になってしまった。

 現在、右の長距離砲は帰国せず、横浜スタジアムからほど近いマンションで夫婦ともに暮らしている。毎日の楽しみはアメリカにいる家族とのビデオ電話で、自身はジョギングやスーパーへの買い出しを中心に過ごしているという。それでもオースティンは、球団の「素晴らしいサポート」で快適に暮らすことができていると感謝を述べた。

 また、自身の目的を考えれば、誰よりも早い開幕を望んでいると思われるが、オースティンは安全面を考慮して難色を示している。そして、無観客での開催も「理想的ではない」という。果たしてその真意も、彼の人となりが伝わるものだった。

「ファンがいてくれることで、選手はそれまでなかったような、アドレナリンを得ることができるんだ」

 球場に大勢の人が詰めかけて野球が行われる日を、ファンも、選手も、オースティンも、一刻も早く待ち望んでいるのだ。

構成●SLUGGER編集部
 
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