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プロ野球

なぜ韓国野球は明日開幕できるのか? 新型コロナへの徹底した“戦い”がもたらした勝利

室井昌也

2020.05.04

明日開幕の韓国野球。徹底した防護策が背景にあった。(C)Getty Images

明日開幕の韓国野球。徹底した防護策が背景にあった。(C)Getty Images

 5月5日、韓国のプロ野球、KBOリーグが開幕戦を迎える。新型コロナウイルスの感染拡大により、当初予定していた3月28日から38日遅れのスタートとなる。

 世界のプロ野球リーグの中では、すでに台湾のCPBLが4月12日に開幕している一方、日本やアメリカは未だ開幕日の決定に至っていない。世界的に深刻な状況が続く中、韓国はどのようにしてシーズン開幕にこぎつけたのだろうか。

 春季キャンプの頃を振り返ると、新型コロナに対する危機感には、台湾と日本は2ヵ月、韓国と日本では1ヵ月の差があったように思う。

 2月12日、筆者は韓国・キウムヒーローズのキャンプ取材のため、台湾南部の高雄を訪れた。ホテルにチェックインしようとすると、入口の前にはテーブルが設置され、マスクをした職員が筆者のおでこに体温計を向けた。数秒後、体温に異常がないことが分かると、手に消毒液を噴射するよう促し、建物に入ることが許された。その流れは滞在中、入館するごとに繰り返された。

 筆者は当時、このやり取りを「大げさだな」と感じていたが、ご存知の通り、台湾はその後、新型コロナの封じ込めに成功。日本ではその2ヵ月後の4月に緊急事態宣言が発令され、現在では駅や公共施設で訪問者の検温が実施されているところもある。
 
 一方、韓国は2月19日に大邱市で集団感染が発覚。その頃の韓国では、国内よりも海外の方が安全という認識があり、日本、アメリカ、オーストラリアで行われていた各球団キャンプはそれぞれ延期を検討。実際に滞在期間を延ばした球団もあった。

 日本にキャンプ取材に訪れていた韓国の記者たちは、2月下旬の時点ですでに「会社全体で在宅勤務になった」と話していた。その時に筆者は「日本はそこまでにはならないのでは?」と思っていたが、3月以降、日本でも多くの企業がテレワークを導入する事態となっていった。

 では球界の動きはどうか。日本と韓国を比較すると、その「スピード感」に差はない。日本は3月9日、韓国は10日にシーズン開幕の延期を決定。日本は同月2日の時点で、Jリーグとともに新型コロナウイルス対策連絡会議を立ち上げた。韓国は16日に専門家を交えたプロジェクトチームを構成し、コロナ対応のマニュアル配布を始めたのは19日だった。

 SKワイバーンズのクォン・ジェウ一軍マネージャーは、リーグが打ち出したコロナ対応マニュアルを受けた後の、チームの感染予防対策についてこう話す。

「選手が球場入りする時にマスクを着用し、検温するのは当たり前ですが、球場に出入りする外部業者、例えば食事を用意する業者の職員も全員PCR検査を受けています。陰性判定を受けた人しか、業務に関わることを認めていません」
 
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