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プロ野球

佐々木朗希は村田兆治、伊良部秀輝に次ぐロッテの大エースとなれるか?

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2020.05.23

ロッテの歴史上、伊良部(右)のような本格派右腕は貴重だ。佐々木(左)も彼以来の豪腕エースとなれるか。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)、朝日新聞社

ロッテの歴史上、伊良部(右)のような本格派右腕は貴重だ。佐々木(左)も彼以来の豪腕エースとなれるか。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)、朝日新聞社

 昨年のドラフトで4球団競合の末にロッテに加わった“令和の怪物”佐々木朗希。大船渡高で最速163キロを計時して注目を集めた彼に、ロッテファンが注ぐ期待は計り知れないほど大きい。

 改めて球団の歴史を振り返った時、右の本格派エースとして真っ先に思い浮かぶのが村田兆治伊良部秀輝だ。

 1968年に入団した村田は、左足を高く蹴り上げる独特の“マサカリ投法”から150キロを超える剛速球を投げ込んだ。リーグ最多奪三振を4度も記録し、通算2363奪三振は歴代10位の記録である。82年にヒジを故障して一時は選手生命を危ぶまれるも、当時の日本ではまだ一般的でなかったトミー・ジョン手術を受けて見事復活。89年には39歳にして自身3度目の最優秀防御率に輝いた。通算215勝はロッテの球団記録であり、引退後も徹底したトレーニングを続け、60歳近くまで140キロの速球を投げたという伝説の右腕だ。

 伊良部もまた印象深い投手だった。尽誠学園時代に甲子園を沸かせた大型右腕は、87年にドラフト1位で入団。当初はかなり粗削りで、大成まで時間がかかったが、プロ6年目の93年に清原和博(西武)との対決で日本最速記録(当時)の158キロを計時。この剛速球を武器に、94~96年の3年間で最多勝1回、最優秀防御率2回、最多奪三振2回とリーグを代表するエースに上り詰め、97年からはメジャーの舞台に身を投じた。
 
 だが、彼ら2人に次ぐ存在となると、なかなか出てこない。毎日オリオンズ時代には、メジャーの速球王ボブ・フェラーにあやかって“和製火の玉投手”と呼ばれた荒巻淳や、長身から投げ下ろす剛速球で通算184勝を挙げた小野正一がエースを務めたが、彼らはいずれも左投手である。

 右腕では70年代にダブルエースを形成した成田文男木樽正明がいるが、成田は高速スライダー、木樽はシュートをそれぞれ決め球にしており、村田や伊良部とはややタイプが異なる。90年代の低迷期を支えた“ジョニー”こと黒木知宏や、2000年代のエース清水直行も同様で、"ど真ん中の本格派"というイメージではない。

 ロッテはむしろ伝統的に技巧派投手を多く輩出しており、近年は特にその傾向が顕著だ。伊良部と同時期に活躍した小宮山悟は、抜群の制球力で“精密機械”の異名を取った。それ以降も地面スレスレのアンダースローで打者を幻惑した渡辺俊介や、独特の招き猫投法を武器に、07年の最優秀防御率に輝いた成瀬善久など、スピードよりもテクニックを身上とする投手がエースが務めてきた。

 それだけに、佐々木への期待は否が応にも高まる。今後、彼が順調にキャリアを積み重ね、かつての村田や伊良部のような本格派エースになってくれることを期待したい。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)

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