専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

コロナ後を見据える不屈の37歳。藤田一也の現状と礎を作った横浜時代の“特訓”

萩原孝弘

2020.05.25

藤田は「もう一度優勝したい!」という願いを胸に、開幕の時を待っている。写真:萩原孝弘

藤田は「もう一度優勝したい!」という願いを胸に、開幕の時を待っている。写真:萩原孝弘

「試合数が減ることは、僕にとってチャンスだと思っています」

  新型コロナウイルスの影響で球界が揺れる最中、東北楽天ゴールデンイーグルスの藤田一也は静かに闘志を燃やす。「シーズンが短縮されると、短期決戦的な戦いになる。1試合1試合大事な、ひとつも負けられない戦いとなれば、僕の持ち味を活かすチャンスになる」と、したたかに考察する。

 楽天の内野陣は、浅村栄斗、茂木栄五郎、FA加入の鈴木大地、ドラフト1位ルーキー・小深田大翔がおり、他にも有力なプレーヤーが多く揃う激戦区。現状を把握した上で「僕も毎日試合に出たいですし、レギュラーになりたい気持ちはありながら、チーム状況的には難しいですね。引っ張っていく年齢でもありませんし」と、藤田は冷静に分析する。

「チームの力になるために、しっかりと任されたところで結果を残す。そして自分の出番を増やしていくことでモチベーションも上げていきたいです」と目標を定め、ベストナイン2回、ゴールデングラブ賞3回を受賞したベテランらしく「試合の流れを変えるプレーでチームに貢献したいですね。守備面でも打撃面でも」と、優勢でも劣勢でも目に見えないゲームの中の“流れ”を掴むことに狙いを定める。
 
「まだ、出来る」との自信はある。同時に「38歳の年になるまでプロ野球選手でいられるとは思わなかった」と感じる瞬間もある。

 2004年、相思相愛だった横浜ベイスターズ(当時)に入団し、2012年シーズン途中に楽天に移籍した。この年齢になっても活躍を続けられるのは、横浜時代のあるプレーヤーとの出会いがポイントになっていると振り返る。

 キーマンは2010年オフに、オリックスからトレードでDeNAにやってきた。嶋村一輝(現DeNA二軍打撃コーチ)だ。

「2011年シーズンに、ティーバッティングの前に“守備練習やろう”って誘って頂いたんです。ノッカーは米村コーチと馬場コーチが務めてくれました」

 藤田がそう振り返るように、オリックスで縁のある3人とともに、「ホームゲームの時は、5時間半前から練習開始しました。なのでデーゲームで13時開始の時は朝の7時半からです。30分くらいノックを受けた後、ティーバッティングなどをこなしました」。29歳の藤田は1年間通して汗を流し続けた。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号