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松井秀喜が最も恐れたハラデイを蝕んだ“内なる悪魔”。現役時代からの薬物中毒を妻が告白

SLUGGER編集部

2020.05.29

17年、飛行機事故のため40歳の若さで亡くなったハラデイ。昨年、殿堂入りを果たしている。(C)Getty Images

17年、飛行機事故のため40歳の若さで亡くなったハラデイ。昨年、殿堂入りを果たしている。(C)Getty Images

 2000年代にMLB最高の投手として君臨し、17年に飛行機事故で亡くなったロイ・ハラデイが、現役時代から薬物中毒に苦しんでいたことが明らかになった。現地5月29日にESPNでオンエアされるドキュメンタリーで、ハラデイの知られざる苦闘を妻や友人たちが克明に証言する。

 17年11月7日、ハラデイは自ら操縦する飛行機がメキシコ湾沖に墜落。40歳の若さで命を落とした。死後、体内から麻薬性鎮痛薬オピオイドやアンフェタミン、抗うつ剤などの薬物が検出されたことが分かった。

 ハラデイはメジャー16年間で最多勝とサイ・ヤング賞を2度ずつ獲得し、10年にはレギュラーシーズンで完全試合、ポストシーズンでノーヒッターを達成する離れ業を披露。03年にヤンキースに入団した松井秀喜が「最も手強い投手の一人」として挙げていたことでも知られる。

 だがその一方で、ハラデイは常に重圧と戦っていた。1995年のプロ入り直後から噛みたばこやアルコールを手放せず、球界屈指の好投手に台頭した後も、登板前日は鎮静剤なしには寝付けなかった。晩年は背中や肩の痛みをこらえるためオピオイドに手を出した。今回、初めて明らかになったことだが、13年には薬物中毒リハビリ施設へ入院したこともあったという。
 
 現役時代のハラデイは静かなる闘志とハードワークぶりで知られている。スプリング・トレーニングである選手が朝早くに一番乗りだと思ってクラブハウスに行くと、ハラデイがすでにワークアウトを終えたところだったというエピソードも残っている。

 妻のブランディはドキュメンタリーの中で「誰もが夫のことをとても強く、支配的な人間だと思っていました。しかし、彼は恐れていました。決して間違いを犯してはいけないと思っていたんです」と語っている。

 責任感の強さが重圧となり、それが薬物中毒につながってしまったのだとすれば、これほど悲しいことはない。

構成●SLUGGER編集部

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