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プロ野球

「反逆者」と呼ばれた男たちが切り拓く日本球界の未来【1】「勘違いから人生は始まるんですよ」菊池雄星の“10年後”の思い

氏原英明

2020.05.22

昨年、ようやくメジャー行きの夢がかなった菊池。「高校生が夢を語れる野球界になってほしい」と話す。(C)Getty Images

昨年、ようやくメジャー行きの夢がかなった菊池。「高校生が夢を語れる野球界になってほしい」と話す。(C)Getty Images

 刺激的な見出しがネット上に流れる。

 読者が過敏に反応し、世間が騒ぎ立てる。

 当事者にとってはごく普通の思いを語った言葉に過剰反応を示すのは、その業界に"常識"以外の考えへの免疫がついていないからだろう。

 昨秋、明治神宮大会である高校球児が夢を語った。

「将来はメジャーしか考えていません。できたら、高校卒業後すぐに行きたい」

 現代の野球人にとって当たり前の夢となりつつあるメジャーリーグ挑戦。しかし、日本では、アマチュア選手がその希望を公言すると、メディアが騒ぎ立てる風潮にある。特に、選手の年齢が若くなればなるほど、発言は問題視される。

 事実、神宮大会でそう語った天理高校の1年生投手(当時)・達孝太はチームの指揮官から発言に気をつけるよう注意を受けている。

 なぜ、若者が夢を語ることが問題視されるのか。
 この問題は今に始まったことではない。これまでも、特にアマチュアのトップ選手がメジャー行きの夢を語ろうとした時、必ずと言っていいほどバッシングを浴びている。田澤純一に始まり、菊池雄星、大谷翔平、吉川峻平――。

 2008年、田澤が日本のプロを経ずにレッドソックスと契約した際、NPBは田澤のように直接、海を渡る選手を悪者扱いするかのようなルールを作った。アマチュア選手がNPBのドラフトを拒否して海外球団と契約した場合、退団後2年間(高卒選手の場合は3年間)、NPB球団との契約を禁止するというものだ。

 若者が海の外に活躍の場を求めることは、野球やスポーツにとどまらず、今の時代の必然の流れだ。日本球界はなぜその現実を受け入れられないのだろうか。

 今年3月、"反逆者"のような扱いを受けた選手たちに話を聞いた。高校から直接メジャーを目指すことを口にした菊池、ルール違反からバッシングの憂き目にあった吉川、そしてパイオニア的存在の田澤だ。当時の騒動、そして今。日本の高校生が夢を語り始めたことを、彼らがどう感じているかを直撃した。

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