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プロ野球

【プロ野球選手の社会貢献活動:第3回】"世界の王"から受け継がれるマインド――巨人社会貢献活動の歴史

節丸裕一

2020.06.07

ともに18年オフに移籍した内海(左)と長野(右)も、巨人時代は社会貢献活動に熱心だった。写真:山崎賢人(THE DIGEST編集部)、朝日新聞社

ともに18年オフに移籍した内海(左)と長野(右)も、巨人時代は社会貢献活動に熱心だった。写真:山崎賢人(THE DIGEST編集部)、朝日新聞社

 巨人の社会貢献活動の歴史は古い。現ソフトバンク球団会長の王貞治氏が現役時代の1960年から札幌遠征のたびに養護学校を訪問していたのは有名だ。その活動は90年から吉村禎章(現一軍作戦コーチ)に引き継がれた。

 球団としても2015年3月にプロジェクト『G Hands』を始動し、社会貢献活動をより積極的にサポートしている。舵取りをするのは、05年にファンサービス部として発足し、16年の組織改編で現在の部署名となったファン事業部だ。中でも代表的なのは、内海哲也(現西武)が立ち上げた『ランドセル基金』だ。ファン事業部の吉野逸人さんによれば、内海は10年間で延べ1300個以上のランドセルを寄贈してきた。内海の移籍が決まると、オフに内海と自主トレを行っていた今村が「自分が引き継いでもいいですか?」と申し出て受け継いだ。内海自身も、移籍した西武で『ランドセル基金』を続けている。
 
 かねてから「内海さんは何もかも尊敬できます」と話していた長野久義(現広島)も、社会貢献への意識は非常に強かった。吉野さんは「被災地や施設を訪問する話が出ると、いつも『僕のところに持ってきてください』と言っていましたね。長野自身が率先して訪問するだけでなく、他の選手にも声をかけてくれました」と明かしてくれた。長野にそのことを尋ねると「目立つのは苦手なので、なるべくこっそり隠れてやってました」と照れていた。

 2人がチームを去った後も、その思いはしっかりと受け継がれている。今の巨人で社会貢献活動を引っ張っているのは選手会長の菅野智之だ。『東京コロナ医療支援基金』での活動でも主導的な役割を果たした菅野は以前から社会貢献に意欲的で、15年から社会福祉法人日本介助犬協会を援助している。以前、菅野は「介助犬は本当に賢くて、必要としている人はたくさんいる。でも育てるのはとても大変で、お金もかかる」と支援の大切さを語っていた。コロナ禍で野球ができない子どもたちのために物真似コンテストを企画するなど、発想力の豊かさは相手に寄り添う気持ちがあるからこそ。介助犬協会に対しては寄付金だけでなく、チャリティグッズの販売権も無償で認めており、去年のグッズ売り上げは何と1000万円を超えたという。「選手の影響力を生かせば、直接お金を出す以外の方法もあるんです」と吉野さんは語る。
 

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