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【MLB今日は何の日】イチローが日米通算4257安打に到達&バンダーミアが史上唯一の2試合連続ノーヒッター

出野哲也

2020.06.15

2試合連続ノーヒッターを達成したのは今に至るまでバンダーミア(左)しかいない。イチロー(右)は日米通算4257安打達成から約2ヵ月後にメジャー通算3000安打に到達した。(C)Getty Images

 ノーヒッターを2度以上記録した投手は、ポストシーズンも含めこれまで35人。年間2回も現役のマックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)ら6人いる。しかし、2試合連続となるとただ一人。1938年6月11日のボストン・ビーズ(ブレーブス)戦、そして4日後の15日、ブルックリン・ドジャース戦で成し遂げたジョニー・バンダーミア(シンシナティ・レッズ)である。

 この年、ハンダーミアはメジャー2年目の23歳、11日のノーヒッターが通算9勝目の若手投手だった。15日の舞台はブルックリンのエベッツ・フィールドで、同球場で初のナイトゲームとあって3万8748人の大観衆が集まっていた。うち700人はニュージャージー生まれのバンダーミアの家族と友人で、ベーブ・ルースも来場していた。

 バンダーミアは制球が定まらず――彼にとって珍しいことではなかった――四球で走者を許すシーンは多かった。しかしドジャース打線が夜の試合に慣れていないせいもあってか、ヒットは1本も打たれないまま8回を終える。ことのほかホームチームへの忠誠心が強いブルックリンっ子たちも、一生お目にかかれそうもない(実際そうなった)場面が目前とあって、バンダーミアに声援を送っていた。
 
「4回くらいから打たれてないことに気づいてはいた。でもプレッシャーを感じたのは9回になってからだった」(バンダーミア)。その9回裏は、先頭打者を投ゴロで打ち取ったが、次打者から3人続けて歩かせ満塁のピンチを招く。それでも続くアーニー・コイは三塁ゴロで二死、最後の打者レオ・ドローチャーは真ん中の速球をセンターへ弾き返したが、中堅手のハリー・クラフトが好捕して快挙は達成された。

 バンダーミアは5月27日から6月19日まで6試合連続完投勝利。この間55回を投げて4失点、被安打たった17本の歴史的快投を続けた。通算119勝121敗と負け越しながらも、殿堂入り投票で最盛時に30%近い票を集めたのは、この2試合の輝きがあまりにも眩しかったからだった。