現地時間9月8日深夜、衝撃的なニュースが飛び込んできた。レッドソックスがデーブ・ドンブロウスキ編成総責任者を解任したのだ。
2015年8月に編成トップに就任したドンブロウスキは、トレードやFAで得意の大物釣りに成功。クリス・セール、クレイグ・キンブレル(現カブス)、デビッド・プライス、JD・マルティネスをチームに加え、昨年は球団新の108勝、ポストシーズンでもヤンキース、アストロズ、、ドジャースと強豪を次々に撃破してワールドチャンピオンに立った。しかし今シーズンは地区3位と停滞。8日時点で首位ヤンキースと17.5ゲーム差、ワイルドカード2位にも8ゲーム差とポストシーズン進出は絶望的な状況に立たされていた。
とはいえ、勝率5割以上はキープしているし、何と言っても世界一達成から1年足らず。唐突なタイミングに多くの球界関係者が驚きを隠さなかった。 では、なぜオーナーのジョン・W・ヘンリーはこのタイミングで解任を決断したのか。
そこには、レッドソックスのチーム作りが新たなフェーズに入ったという認識がある。
先述したように、大物獲得の手腕にかけてはドンブロウスキの右に出る者はいない。その一方で、セールやキンブレルらを獲得するために若手有望株を大量に放出し、マイナー組織が一気にやせ細ってしまったのも事実だった。
今後、勝利と育成のバランスをうまく取るチーム作りが求められていく中、ドンブロウスキはその任務には不適格と判断された、というのが解任の最大の要因だろう。
思えば、ドンブロウスキはタイガースGM時代にもミゲル・カブレラやプリンス・フィルダー(引退)、プライスら大物を獲得するなどして強豪チームを作り上げたが、その間にマイナー組織が枯渇。タイガースは今もその「後遺症」に苦しんでいる。「ドンブロウスキ流」は副作用も大きいのだ。
優勝請負人として招聘したドンブロウスキは、見事にその役目を果たした。しかし、チームの今後の方向性には必ずしもフィットしていない。だから、ここでお引き取り願おうというわけだ。
冷酷だが、理には適っている。これがMLBの流儀なのだろう。
ちなみに後任候補には、デレク・ファルビー(ツインズ)、マーク・ヘイゼン(ダイヤモンドバックス)の名が挙がっている他、04年に若き天才GMとして84年ぶりの世界一をもたらしたセオ・エプスティーン(カブス)を呼び戻すという驚きのアイデアも浮上している。
文●久保田市郎(スラッガー編集長)
2015年8月に編成トップに就任したドンブロウスキは、トレードやFAで得意の大物釣りに成功。クリス・セール、クレイグ・キンブレル(現カブス)、デビッド・プライス、JD・マルティネスをチームに加え、昨年は球団新の108勝、ポストシーズンでもヤンキース、アストロズ、、ドジャースと強豪を次々に撃破してワールドチャンピオンに立った。しかし今シーズンは地区3位と停滞。8日時点で首位ヤンキースと17.5ゲーム差、ワイルドカード2位にも8ゲーム差とポストシーズン進出は絶望的な状況に立たされていた。
とはいえ、勝率5割以上はキープしているし、何と言っても世界一達成から1年足らず。唐突なタイミングに多くの球界関係者が驚きを隠さなかった。 では、なぜオーナーのジョン・W・ヘンリーはこのタイミングで解任を決断したのか。
そこには、レッドソックスのチーム作りが新たなフェーズに入ったという認識がある。
先述したように、大物獲得の手腕にかけてはドンブロウスキの右に出る者はいない。その一方で、セールやキンブレルらを獲得するために若手有望株を大量に放出し、マイナー組織が一気にやせ細ってしまったのも事実だった。
今後、勝利と育成のバランスをうまく取るチーム作りが求められていく中、ドンブロウスキはその任務には不適格と判断された、というのが解任の最大の要因だろう。
思えば、ドンブロウスキはタイガースGM時代にもミゲル・カブレラやプリンス・フィルダー(引退)、プライスら大物を獲得するなどして強豪チームを作り上げたが、その間にマイナー組織が枯渇。タイガースは今もその「後遺症」に苦しんでいる。「ドンブロウスキ流」は副作用も大きいのだ。
優勝請負人として招聘したドンブロウスキは、見事にその役目を果たした。しかし、チームの今後の方向性には必ずしもフィットしていない。だから、ここでお引き取り願おうというわけだ。
冷酷だが、理には適っている。これがMLBの流儀なのだろう。
ちなみに後任候補には、デレク・ファルビー(ツインズ)、マーク・ヘイゼン(ダイヤモンドバックス)の名が挙がっている他、04年に若き天才GMとして84年ぶりの世界一をもたらしたセオ・エプスティーン(カブス)を呼び戻すという驚きのアイデアも浮上している。
文●久保田市郎(スラッガー編集長)