山口俊が在籍するブルージェイズのホームグラウンドが、いまだに決まらない。
本来の本拠地はトロントのロジャース・センターなのだが、今季この球場で試合を行うことをカナダ政府が認めなかった。ブルージェイズとビジターのチームがアメリカとカナダを往来することで、新型コロナウイルス感染のリスクを高めるというのがその理由だ。
7月21日には、ブルージェイズがパイレーツの本拠地PNCパーク(ピッツバーグ)を間借りすると報じられたが、こちらも翌日、ペンシルバニア州の保険福祉局が受け入れを拒否する声明を出した。パイレーツはナ・リーグ中地区、ブルージェイズはア・リーグ東地区なので、これを受け入れてしまうとPNCパークを訪れる球団の数が倍増し、それに比例して感染リスクも増大するからだ。
現時点では、メリーランド州ボルティモアのカムデンヤーズ(オリオールズの本拠地)、ニューヨーク州バッファローのサーレン・フィールド(ブルージェイズ3Aの本拠地)、フロリダ州ダニーデンのTDボールパーク(ブルージェイズのスプリング・トレーニング施設)が候補に挙げられている。
だが、もしこのまま決まらなければ、ブルージェイズはホームゲームも対戦相手の本拠地で行うことになるかもしれない。例えば、ホーム開幕戦(7月29日)のナショナルズ戦をワシントンDCのナショナルズ・パークで催し、通常とは逆にブルージェイズが後攻になるといった具合だ。
なお、ブルージェイズがPNCパークを本拠地とする案は実現しなかったが、過去にはシーズンを通して他球団の本拠地に"居候"した例もある。1961年に誕生したエンジェルスは、その年こそロサンゼルスのリグリー・フィールド(カブスの本拠地とは別の球場)を使用したが、収容人員が少ないこともあり、翌年から現球場ができるまでの4年間(62~65年)はドジャー・スタジアムを本拠地とした。
また、ヤンキースはヤンキー・スタジアム(先代)の大規模改修に伴い、74~75年にはメッツの本拠地シェイ・スタジアムを使用した。この頃はまだインターリーグは始まっておらず、残念ながら(?)"大家"と"借主"によるワールドシリーズも実現はしなかった。
ブルージェイズがどのような形で今季のホーム試合を行うのかはまだ分からないが、いずれにしてもロジャース・センターで戦うアドバンテージは消滅してしまうことになる。昨季のブルージェイズはホーム/アウェーともに負け越しはしたが、アウェーでの戦績が32勝49敗、勝率.395に対し、ロジャース・センターでは35勝46敗、勝率.432とやや高かった。今季はブルージェイズにとって、より厳しいシーズンとなりそうだ。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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本来の本拠地はトロントのロジャース・センターなのだが、今季この球場で試合を行うことをカナダ政府が認めなかった。ブルージェイズとビジターのチームがアメリカとカナダを往来することで、新型コロナウイルス感染のリスクを高めるというのがその理由だ。
7月21日には、ブルージェイズがパイレーツの本拠地PNCパーク(ピッツバーグ)を間借りすると報じられたが、こちらも翌日、ペンシルバニア州の保険福祉局が受け入れを拒否する声明を出した。パイレーツはナ・リーグ中地区、ブルージェイズはア・リーグ東地区なので、これを受け入れてしまうとPNCパークを訪れる球団の数が倍増し、それに比例して感染リスクも増大するからだ。
現時点では、メリーランド州ボルティモアのカムデンヤーズ(オリオールズの本拠地)、ニューヨーク州バッファローのサーレン・フィールド(ブルージェイズ3Aの本拠地)、フロリダ州ダニーデンのTDボールパーク(ブルージェイズのスプリング・トレーニング施設)が候補に挙げられている。
だが、もしこのまま決まらなければ、ブルージェイズはホームゲームも対戦相手の本拠地で行うことになるかもしれない。例えば、ホーム開幕戦(7月29日)のナショナルズ戦をワシントンDCのナショナルズ・パークで催し、通常とは逆にブルージェイズが後攻になるといった具合だ。
なお、ブルージェイズがPNCパークを本拠地とする案は実現しなかったが、過去にはシーズンを通して他球団の本拠地に"居候"した例もある。1961年に誕生したエンジェルスは、その年こそロサンゼルスのリグリー・フィールド(カブスの本拠地とは別の球場)を使用したが、収容人員が少ないこともあり、翌年から現球場ができるまでの4年間(62~65年)はドジャー・スタジアムを本拠地とした。
また、ヤンキースはヤンキー・スタジアム(先代)の大規模改修に伴い、74~75年にはメッツの本拠地シェイ・スタジアムを使用した。この頃はまだインターリーグは始まっておらず、残念ながら(?)"大家"と"借主"によるワールドシリーズも実現はしなかった。
ブルージェイズがどのような形で今季のホーム試合を行うのかはまだ分からないが、いずれにしてもロジャース・センターで戦うアドバンテージは消滅してしまうことになる。昨季のブルージェイズはホーム/アウェーともに負け越しはしたが、アウェーでの戦績が32勝49敗、勝率.395に対し、ロジャース・センターでは35勝46敗、勝率.432とやや高かった。今季はブルージェイズにとって、より厳しいシーズンとなりそうだ。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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