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ポストシーズン出場枠が16チームに拡大。世界一への道のりはより険しくなる?

宇根夏樹

2020.07.28

昨季はワイルドカードから17試合で世界一となったナショナルズだが、今季のフォーマットなら最大22試合が必要になる。(C)Getty Images

 今季はレギュラーシーズンだけでなく、ポストシーズンも例年とは異なる。これまでは各リーグで5チーム(地区優勝3チーム+ワイルドカード2チーム)がポストシーズンに進出していたが、今年はこの枠が各リーグで8チームに拡大する。地区優勝3チームに加えて2位の3チーム、そしてワイルドカード2チームがポストシーズンへ進める。

 進出チームの増加に伴い、プレーオフのフォーマットも変わる。例年はワイルドカード・ゲーム(1試合)→地区シリーズ(5試合/3戦先勝)→リーグ優勝決定シリーズ(7試合/4戦先勝)→ワールドシリーズ(7試合/4戦先勝)だったのに対し、今年はワイルドカード・シリーズ(3試合/2戦先勝)→地区シリーズ→リーグ優勝決定シリーズ→ワールドシリーズという流れになる。

 多くのチームにワールドシリーズ優勝のチャンスが出てくる一方で、頂点までの道のりは険しさを増すことになる。たとえ地区1位でレギュラーシーズンを終えても、今年はワイルドカード・シリーズを勝ち抜けないと、従来の1ラウンド目だった地区シリーズには進めないのだ。すべての地区シリーズに地区優勝のチームが皆無、という事態も起こり得る。
 
 ワイルドカード・シリーズの組み合わせは以下のようになる。
●カードA 地区優勝の勝率トップ(3チーム中) vsワイルドカード2番手
●カードB 地区優勝の勝率2位 vs ワイルドカード1番手
●カードC 地区優勝の勝率3位 vs 地区2位の勝率3位(3チーム中)
●カードD 地区2位の勝率1位 vs 地区2位の勝率2位」

 どのカードも勝率上位チームがホームフィールド・アドバンテージを持ち、シリーズの全試合をホームで行う。

 複数のチームが同じ勝率でレギュラーシーンを終えた場合、直接対戦の勝率で順位が決まる。それも同じなら(あるいはレギュラーシーズンで直接対戦がなければ)、次は同地区チームとの対戦勝率。さらに最終20試合の勝率、21試合の勝率、22試合の勝率……と差が生じるところまでさかのぼる。

 なお、ポストシーズンの進出チームを増やす案は、新型コロナウイルスによって開幕が延期される前にも出ていた。こちらは、地区優勝3チームとワイルドカード4チームの各リーグ7チームがポストシーズンへ進出。地区優勝の勝率1位(リーグ勝率1位)は地区シリーズからスタートするが、他の6チームはその前にワイルドカード・シリーズで対戦する。この案は、労使協定が切れる2021年オフに話し合われる予定だった。少し形式は違うが、今年のポストシーズン出場枠の拡大は、その格好の試金石となりそうだ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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