プロ野球

巨人が“王者”たる所以の攻撃を見せつけ、優勝マジックを「7」に!

氏原英明

2019.09.12

丸の2本塁打5打点の活躍もあって、巨人に優勝マジック7が点灯した。写真:徳原隆元

 力でねじ伏せた。

 セ・リーグ首位攻防第3戦目は、首位・巨人が序盤から試合の主導権を握って8―5でDeNAに勝利。マジックを一気に2つ減らして優勝へ大きく前進した。

 試合は初回から巨人打線が効果的に得点を重ねた。
 先頭の亀井善行が右翼前安打で口火を切ると、坂本勇人と丸佳浩の連打で1点を先取。電光石火の先制パンチだった。さらに、1死満塁と攻め立てると、6番・重信慎之介の併殺崩れの間に1点を加えて2−0とした。

 2回裏にソトに40号となるソロ本塁打を浴びるも、3回表には先頭の大城卓三が中前安打で出塁、守備のミスを突いてセカンドを陥れた。続く・重信が内野安打、さらに二盗を成功させると、7番・田中俊太がきっちり左翼犠飛を放って3点目。4回表には四球で出塁した亀井を一塁において、3番の丸が右翼スタンドへ2点本塁打で突き放すと、4番・岡本和真にも一発が出て試合を決定づけた。
 印象的だったのは、巨人が序盤から手堅い攻めを選ばずに得点を重ねたことだ。

 
DeNAの先発がエース格でなかったたこともあるのだろう。王者は真っ向から粉砕していく、そんな気概を感じさせた。1回の先制パンチは、平良拳太郎に落ち着く間を与えずに奪ったものだった。

 もっとも、だからといって試合の流れを読まずに攻撃をしていたわけではない。2点目の重信の併殺崩れや3点目の田中の犠飛は、果たすべき役割を選手それぞれが理解してのチームバッティングで貴重な追加点を奪っている。

 初戦は手堅い試合運びで勝利し、3戦目は真っ向から攻めて勝利を手繰り寄せた。

 この戦いこそ原巨人の強さと言えるかもしれない。

 守っても先発のルーキー・髙橋優貴は5回途中までを2失点。勝ち投手の権利目前に交代したが、そうした采配もこの試合を勝つことでペナントを大きく決めることを分かっていてのものだ。鍵谷陽平、田口麗斗、大竹寛とつなぎ、最後はデラロサが試合を締めくくった。

「この3連戦は大事な3連戦だと思っていましたし、その中で勝ち越すことができて良かったと思います。これからも厳しい戦いが続きますが、今日のようにチーム一丸となって戦っていきたい」

 この日、2本塁打5打点の活躍だった丸はそう振り返っている。

 3連戦の初戦の勝利は今年のペナントにとって重要な意味を持っていた。そしてこの試合もまた、巨人が前進する上で大事な一戦だった。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。