▼"投"のレイズと"打"のヤンキースはどちらに軍配?
それぞれのチームの強みは、ワイルドカード・シリーズのスコアからもうかがえる。2試合とも2失点以下に抑えたレイズは投手陣、いずれも2ケタ得点を挙げて連勝したヤンキースは打線が強み。レイズのチーム防御率3.56はリーグ2位、ヤンキースのチームOPS.789はリーグトップだ。
レギュラーシーズンの対決ではレイズが8勝2敗と圧倒。地区シリーズからは中立地開催となり、このカードは投手有利なペトコ・パークで行われることもあり、全体としてレイズ有利は動かないだろうが、ヤンキース打線は怪我人が続々と戦列に復帰し、ようやくフルメンバーが揃った。レギュラーシーズンの半分以上を欠場した2人のうち、ジャンカルト・スタントンは先のシリーズで2試合とも本塁打を放ち、9打数1安打のアーロン・ジャッジもその1本は本塁打だった。また、本塁打王のルーク・ボイトは、レギュラーシーズンの対レイズ9試合で4本塁打。レイズが投げ勝つのか、ヤンキースが打ち勝つのか、いかに強みを発揮するかが勝敗を分ける。
▼"プレーオフ男"田中が本領発揮なるか?
田中将大(ヤンキース)は昨年まで、ポストシーズン通算8登板で5勝3敗、防御率1.76と、とにかく大舞台に強かった。だが、今年のワイルドカード・シリーズでの登板は、雨の影響もあったとはいえ、4.0回で6失点。彼が復調できるかどうかも、ヤンキースの命運を左右しそうだ。対レイズ戦では通算21試合で11勝5敗、防御率3.31と相性が良く、1番を務める筒香嘉智を6打数0安打と完璧に封じているのも好材料だ。
なお、ヤンキースのエース、ゲリット・コールはレイズ相手に通算7試合を投げ、3敗を喫して白星なしとレギュラーシーズンでは相性は良くない。だが、アストロズにいた昨年はレイズと地区シリーズで対決し、2先発して15.2イニングを1失点と完璧に抑えて2勝を挙げた。ヤンキースとすれば、コールと田中で連勝して一気に王手をかけたい。
▼この2チームにも遺恨アリ?
ア・リーグ地区シリーズのもう一方のカードには、アストロズのサイン盗みを告発したのがアスレティックスの投手マイク・ファイアーズだったという"因縁"があるが、実はレイズとヤンキースにも、2年前の報復死球に端を発する遺恨がある。当時ヤンキースにいたCC・サバシアが、直前に味方が頭部付近へのビーンボールを投じられたことに死球で報復したのだ。
今シーズンも9月1日の試合で、ヤンキースのアロルディス・チャップマンがマイク・ブロッソーの頭部近くに100マイルの速球を投げ、あわや乱闘寸前の事態となった。この日、田中がジョーイ・ウェンドルにぶつけたのも、レイズは故意だと主張。激しい非難合戦が繰り広げられた。今回の対戦が決まった直後、レイズのケビン・キアマイアーは地元紙に「彼らは俺たちを好きじゃないし、俺たちだって同じさ」と発言。1試合の重みが増すポストシーズンで故意死球は考えにくいが、選手の気持ちはレギュラーシーズン以上に昂ぶっている。それだけに熱戦が期待できそうだ。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
【PHOTO】スター選手が勢ぞろい! 2020MLBプレーヤーランキングTOP30
それぞれのチームの強みは、ワイルドカード・シリーズのスコアからもうかがえる。2試合とも2失点以下に抑えたレイズは投手陣、いずれも2ケタ得点を挙げて連勝したヤンキースは打線が強み。レイズのチーム防御率3.56はリーグ2位、ヤンキースのチームOPS.789はリーグトップだ。
レギュラーシーズンの対決ではレイズが8勝2敗と圧倒。地区シリーズからは中立地開催となり、このカードは投手有利なペトコ・パークで行われることもあり、全体としてレイズ有利は動かないだろうが、ヤンキース打線は怪我人が続々と戦列に復帰し、ようやくフルメンバーが揃った。レギュラーシーズンの半分以上を欠場した2人のうち、ジャンカルト・スタントンは先のシリーズで2試合とも本塁打を放ち、9打数1安打のアーロン・ジャッジもその1本は本塁打だった。また、本塁打王のルーク・ボイトは、レギュラーシーズンの対レイズ9試合で4本塁打。レイズが投げ勝つのか、ヤンキースが打ち勝つのか、いかに強みを発揮するかが勝敗を分ける。
▼"プレーオフ男"田中が本領発揮なるか?
田中将大(ヤンキース)は昨年まで、ポストシーズン通算8登板で5勝3敗、防御率1.76と、とにかく大舞台に強かった。だが、今年のワイルドカード・シリーズでの登板は、雨の影響もあったとはいえ、4.0回で6失点。彼が復調できるかどうかも、ヤンキースの命運を左右しそうだ。対レイズ戦では通算21試合で11勝5敗、防御率3.31と相性が良く、1番を務める筒香嘉智を6打数0安打と完璧に封じているのも好材料だ。
なお、ヤンキースのエース、ゲリット・コールはレイズ相手に通算7試合を投げ、3敗を喫して白星なしとレギュラーシーズンでは相性は良くない。だが、アストロズにいた昨年はレイズと地区シリーズで対決し、2先発して15.2イニングを1失点と完璧に抑えて2勝を挙げた。ヤンキースとすれば、コールと田中で連勝して一気に王手をかけたい。
▼この2チームにも遺恨アリ?
ア・リーグ地区シリーズのもう一方のカードには、アストロズのサイン盗みを告発したのがアスレティックスの投手マイク・ファイアーズだったという"因縁"があるが、実はレイズとヤンキースにも、2年前の報復死球に端を発する遺恨がある。当時ヤンキースにいたCC・サバシアが、直前に味方が頭部付近へのビーンボールを投じられたことに死球で報復したのだ。
今シーズンも9月1日の試合で、ヤンキースのアロルディス・チャップマンがマイク・ブロッソーの頭部近くに100マイルの速球を投げ、あわや乱闘寸前の事態となった。この日、田中がジョーイ・ウェンドルにぶつけたのも、レイズは故意だと主張。激しい非難合戦が繰り広げられた。今回の対戦が決まった直後、レイズのケビン・キアマイアーは地元紙に「彼らは俺たちを好きじゃないし、俺たちだって同じさ」と発言。1試合の重みが増すポストシーズンで故意死球は考えにくいが、選手の気持ちはレギュラーシーズン以上に昂ぶっている。それだけに熱戦が期待できそうだ。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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