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プロ野球

【氏原英明の本音で勝負!】順位を上げるためだけの戦いに価値はない。未来へ向けて舵を切るべき球団とは?

氏原英明

2020.10.08

根尾をはじめ、将来性豊かな若手野手が揃っているのだが……。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

根尾をはじめ、将来性豊かな若手野手が揃っているのだが……。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 未来へ向けて舵を切っているのは、実質、オリックスと広島だけと言っていいだろう。
 
 オリックスは高卒ドラフト1位ルーキーの宮城大弥が4日のロッテ戦でプロデビュー。勝ち負けはつかなかったが5回2失点、99球の見事な投球だった。もちろん、この抜擢は2、3年後のチームを見据えてのものだろう。広島もルーキーの宇草孔基、期待のスラッガー林晃太を一軍に昇格させている。

 セ・リーグは巨人が抜け出し、パ・リーグはほぼ2球団に絞られた2020年のペナントレース。選手層の厚さもさることながら、シーズン中にトレードも含めての積極的な入れ替えを行ったチームが結果を残した形だ。

 各球団にはさまざまな事情がある。観客動員の見込みがはっきりと見えない中で、補強に二の足を踏んだ球団は少なくはなかったはずだ。

 いずれにせよ、ペナントレースの帰趨が見えてきた今、最優先で考えるべきは来季以降のチームをどう作り上げるかだろう。

 しかし、現時点で育成重視の姿勢を鮮明にしているのはパ・リーグ最下位のオリックスと広島だけである。宮城の抜擢が成功するか否かは来季以降になってみないと分からないが、中嶋聡監督代行の元で戦力の再整備が着実に行われている印象だ。
 
 一方、心配なのは、セ・リーグの3位と4位を行き来する中日、そして、パ・リーグ4位の西武である。指揮官の選手起用からチームの将来が見えてこないのだ。

 中日はシーズン前半に一軍に昇格させていた石川昂弥、根尾昂、岡林勇希を再招集するつもりはないようだ。与えられたポジションで試合に出ることに価値がないとの判断だと聞く。

 だが、石川昂は現在ウエスタン・リーグ打率2位に位置し、岡林は4位。翻って一軍は得点、打率、本塁打、OPSなど多くの部門でリーグワーストに沈み、ベンチの層も薄い。この状況で同じメンバーを使い続けている首脳陣の采配には疑問を感じる。9月9日に4年目の石垣雅海が一軍に昇格したが、それから約1か月で先発出場はわずか2試合しかない。8年ぶりのAクラス入りという大義名分のために、若手の出場機会が奪われているのが現状ではないか。特に、今年のセ・リーグはCSが行われないことを考えると、余計にその思いが強くなる。

 西武も、まだAクラス入りの可能性を残している。だが、今季は森友哉、山川穂高、外崎修汰らの不調で看板の"山賊打線"が不発。加えて、MLBへ移籍した秋山翔吾の後継者不在という課題も解決できていない。
 

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