プロ野球

【2020ドラフト展望:ヤクルト】スケールの大きい本格派先発右腕を指名してチームの柱に

西尾典文

2020.10.17

競合確実の早川を回避して同じく即戦力として期待できる栗林を指名するのも手だろう。写真:産経新聞社

 いよいよ26日に迫った2020年ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。最下位に低迷するヤクルトには一体どんな選手が必要だろうか。

【2020年ドラフトのテーマ】
・即戦力の本格派先発右腕の獲得
・次代の正捕手候補獲得も急務


 高津臣吾新監督を迎えた今季も、昨季に続いて最下位に沈んでいるヤクルト。昨年のドラフトでは目玉の一人だった奥川恭伸を引き当て、2位~4位も投手を指名したが、チーム防御率は今年も12球団でダントツの最下位とまだまだ整備が必要だ。

 年齢構成を見ても、主力投手は軒並み20代後半から30歳以上のベテランに偏っている。すでに引退を表明している五十嵐亮太を含め、32歳以上の投手が実に7人、先発投手で若手と言えるのは高橋奎二だけという状況だ。奥川にかかる期待は大きいものの、今年もやはり投手中心の指名は必然だろう。
 
 高校生で一番の大物である高橋宏斗(中京大中京高)を指名して奥川と二枚看板を形成するという考え方もあるが、やはりある程度早くから計算できる投手が欲しいというのが首脳陣の本音ではないだろうか。

 即戦力投手では早川隆久(早稲田大)に人気が集中することが予想されるが、「最も外れる要素が少ない」投手となると、栗林良吏(トヨタ自動車)がおすすめだ。大学時代から実力は申し分なかったが、社会人でさらにレベルアップ。スピード、変化球、コントロールいずれも高レベルで、長いイニングを投げ切るスタミナや牽制、フィールディングなど投げる以外のプレーも上手く、1年目から十分にローテーション入りが期待できる。

 野手も手当が必要なポジションは多い。特に緊急度が高いのが捕手だ。本来は正捕手の中村悠平が故障と不振で二軍暮らしが続き、控えクラスでやり繰りしている印象が否めない。そこで2位で残っていれば狙いたいのが古川裕大(上武大)だ。強肩強打を兼ね備え、大城卓三(巨人)のような攻撃型捕手に育つ可能性を十分に秘める。1年目から一軍の戦力となる可能性も高い。