プロ野球

【2020ドラフト展望:西武】即戦力投手と思いきや長打力を備えた強打の野手獲得が最優先課題?

出野哲也

2020.10.19

佐藤に加え、大学日本代表で4番を務めた牧もドラフト1位候補の一人に挙げられる。写真:山手琢也

 いよいよ26日に迫った2020年ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。

【2020年ドラフトのテーマ】
・次代の打線の中心を担う野手
・一軍ですぐ活躍できる即戦力投手


 今季は3連覇を逃すことが確実なだけでなく、Bクラス転落の危機に瀕している。低迷の最大の原因が、今季もまたリーグ最下位の防御率と一向に改善されない投手力にあるのは言うまでもない。となればドラフトでも即戦力投手を指名するだろうと思うのも当然だ。

 しかしながら、弱体投手陣を支えてきた攻撃力も、今季は得点数リーグ5位と迫力が大きく後退している。昨年、首位打者に輝いた森友哉が予想外の不振に陥ったのも響いたが、37歳の中村剛也や栗山巧に代わる若手もいまひとつ殻を破りきれていない。近未来のチームの中心となる野手を確保するのも、今年のドラフトの重要なテーマになっている。
 
 その目的に叶うのが佐藤輝明(近畿大)で、すでに渡辺久信GMが1位指名を検討していることを表明している。チームカラーにぴったりのスケールの大きな強打者で、外野だけでなく三塁が守れるため中村の後継者ともなり得る。大学生野手では二塁手の牧秀悟(中央大)も、スラッガータイプではないけれどもシュアな打撃の評価が高い。現在の正二塁手である外﨑修汰を三塁や外野に回すことも可能になるので、佐藤のクジを外した場合にまだ残っているようなら、ぜひ獲得したい。

 この他、大学ナンバーワン捕手の古川裕大(上武大)を上位指名する手もある。一部では「阿部慎之助二世」との声も上がる強打が魅力の選手。今季入団した柘植世那と古川で正捕手を競わせ、森は外野かDHへ回して打力をより生かす道を探る、というシナリオだ。