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【ワールドシリーズ展望】投手力ではレイズ、打撃力ではドジャース…まさにあらゆる意味で対照的なチームの対決

宇根夏樹

2020.10.20

ベッツ(左)をはじめビッグネーム揃いのドジャース打線に、モートン(右)を筆頭とするメジャー屈指の投手陣でレイズが挑む。(C)Getty Images

▼あらゆる意味で好対照なチームの頂上対決
 どちらのリーグ優勝決定シリーズも第7戦までもつれたが、結局、両リーグともレギュラーシーズン最高勝率のチームが勝ち上がった。レイズは球団史上初の世界一を目指し、ドジャースは1988年以来32年ぶりの王座を狙う。

 レイズとドジャースは、あらゆる意味でチームのタイプが異なる。ドジャースはクレイトン・カーショウ、ムーキー・ベッツ、コディ・ベリンジャーと3人のMVPを筆頭にまさに綺羅星のごときスター軍団。圧倒的な層の厚さで勝ち上がってきた。一方のレイズでビッグネームと呼べるのは18年のサイ・ヤング賞投手ブレイク・スネルくらい。

 総年俸もドジャースがMLB2位の約9498万ドル(約100億円/60試合に基づく減額後の金額)に対し、レイズは28位の2877万ドル(約30億円)。既成概念に捉われない創意工夫で勝ち上がってきたチームという印象が強い。ドジャースが層の厚さを生かして横綱相撲で勝つか、それともレイズが創意工夫で勝利を収めるか。双方のチームカラーに注目だ。
 
▼投手力はほぼ互角に見えるが、ドジャースには不安要素が…
 レイズのこのポストシーズンのチーム防御率は3.356。対するドジャースは3.364とわずかな差しかない。しかもこれは地区シリーズまで進んだ8チームの中で、トップ2の数字だ。だが、ドジャースの投手陣は2つの不安要素を抱える。クレイトン・カーショウはポストシーズンの通算防御率が4.31で、ワールドシリーズでは2017~18年に4度先発し、うち3試合で4点以上を取られた。今年のリーグ優勝決定シリーズでも、背中の痛みで第2戦の先発を回避し、第4戦では4失点で6回途中に降板と万全ではないようだ。また、クローザーのケンリー・ジャンセンも安定感に欠け、リーグ優勝決定シリーズ第7戦では、1点差にもかかわらず9回に登板しなかった。

 それに対し、レイズのブルペンにはさまざまなタイプの投手が揃い、起用順もフレキシブルだ。ケビン・キャッシュ監督が投入場面と順序を誤らなければ、絶大な効果を発揮する。加えて、チャーリー・モートンはここ2年のポストシーズンで計5先発して5勝。計25.2イニングを投げて自責点はわずか2と、プレーオフでの強さには定評がある。