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プロ野球

【氏原英明の本音で勝負!】「最速」の数字ばかりが独り歩きするドラフト候補報道に異議あり!

氏原英明

2020.10.25

最速155キロを誇る早稲田大の早川隆をはじめ、最近のドラフト候補の最速は150キロ中盤に達することが珍しくない。写真:山手琢也

最速155キロを誇る早稲田大の早川隆をはじめ、最近のドラフト候補の最速は150キロ中盤に達することが珍しくない。写真:山手琢也

 今やバリバリのメジャーリーガーとして活躍する選手からTwitter上で記事を称賛してもらったことがある。その記事とは、某球場でスピードガン表示が異常に速く計測されるコースがあり、それがアマチュアの投手たちに悪影響を及ぼしている、と断じたものだった。

 多くの人が薄々気づいているのではないだろうか。マスコミ報道における「最速」の曖昧さを。

 プロ野球チームの本拠地球場では、大半がトラックマンを置いているから正確な数値が出る。ただ、球場によって基準や正確性がまちまちという状況の中でのドラフト候補たちの「最速〇〇キロ」は疑わざるを得ない。

 過去のドラフト候補で、プロ入り以降最速を更新したケースがどれほどいただろうか。発展途上の高校生はともかく、大卒以上では澤村拓一(ロッテ)や菅野智之(巨人)、則本昂大(楽天)など少数だろう。多くの投手はプロ入り後、ストレートの最速が伸び悩んでいるのが実情だ。

 もっとも、ドラフト前に公言される「最速〇〇キロ」が虚偽だと言いたいのではない。どのような状況で出た数値なのかが分からない中での最速表記は、投手の評価を見誤ってしまいかねないと言いたいだけである。
 
 あらゆるサイトや雑誌などを総合すると、今年のドラフト候補最速は田澤純一(埼玉ヒートベアーズ)の156キロのようだ。当然と言えば当然かもしれない。田澤は今年で34歳。メジャーリーグの本場のトレーニングで体を鍛え上げてきた。彼の右腕から繰り出されるボールひとつひとつはその成長の印だ。

 その田澤と同じか2、3キロ程度しか変わらない最速ストレートの持ち主がドラフト候補にはわんさかいるのだ。

 これが本当に事実ならば喜ばしいことだ。22歳の投手がアメリカで多くのトレーニングを積んできた田澤と同レベルのストレートをすでに投げているのだから、日本の将来は明るい。

 田澤はともかく、現役プロ野球の選手で比較しても、楽天の則本昂大が今季マークした最速が154キロだから、その上をいくということになる。あるいは190cm、105kgの恵まれた体格から今季、キャリアハイの154キロをマークした高橋光成(西武)よりも速いというわけだ。ちなみに高橋光は菊池雄星(マリナーズ)とトレーニングを積んで肉体改造に成功し、プロ6年目にして154キロまでたどり着いた。
 

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