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大学野球

“早慶戦”は劇的な展開で早稲田が10季ぶりの優勝! 楽天1位・早川が胴上げ投手、ヤクルト1位・木澤の交代が勝負の分かれ目に

THE DIGEST編集部

2020.11.08

早川(左)と木澤(右)の投げ合いが彩られた早慶戦は、劇的すぎる形で決着。写真:早川/山手琢也、木澤/大友良行

早川(左)と木澤(右)の投げ合いが彩られた早慶戦は、劇的すぎる形で決着。写真:早川/山手琢也、木澤/大友良行

「これぞ伝統の一戦」。そう唸りたくなる試合だった。

 8日、早稲田大学と慶応大学の“早慶戦”が神宮球場で行われ、早稲田が3対2で慶応を下し、10季ぶり46回目の優勝を決めた。

 前日7日には、今年のドラフト会議で4球団競合の末に楽天に指名された早稲田の左腕・早川隆久、ヤクルトから1位指名を受けた慶応の右腕・木澤尚文が先発。5回までスコアボードにゼロが刻まれる投手戦の中、6回裏に早稲田が先制すると、直後の7回に慶応が追いつく息詰まる試合に。

 しかしその裏、早稲田の8番・蛭間拓哉(2年生)が木沢の浮いたフォークをレフトスタンドに運ぶ2ランを放ち、早稲田が勝ち越しに成功。2点のリードをもらった早川は9回まで投げぬき1失点15奪三振の力投で“ドラ1対決”を制した。これにより、8日の試合では、早稲田は引き分け以上で優勝、慶応は勝てば優勝という、非常にドラマッチクな条件が整った。
 
 そして文字通り、優勝決定戦はドラマチックな展開となった。この試合も3回表に早稲田が先制して幕を開けると、直後に慶応が追いつき、4回には2対1でリードを広げる試合となった。早稲田も慶応を小刻みな継投で最少失点にとどめていく中、慶応は8回に木澤を投入。見事に3者凡退で流れを作ると、その裏の攻撃では2死から連打でチャンスを作る。

 もう1点もやれない早稲田は、前日に完投した早川を送り出す。そしてエース左腕は5番をレフトフライに仕留め、味方の攻撃にすべてを託した。しかし、早稲田の9回の攻撃は簡単に2アウトに終わり、あと1死で慶応の優勝……となるはずだった。だが、7番の熊田任洋が木澤からレフト前にヒットを放って望みをつなぎ、前日に決勝ホームランを叩き込んだ蛭間に打席を回す。

 ここで慶応は、エース木澤から左腕の生井惇己に投手交代。前日の“悪夢”、木澤の疲れ、左対左という条件は決して間違いとは言えなかった。しかしやはり、木澤の表情にはどこか納得できないような表情が浮かんでいた。

 もちろん、これで抑えればすべて丸く収まるはずだったが、蛭間は代わり端の初球スライダーを完璧に捉えると、打球はぐんぐんセンター方向へ伸びていき、何と逆転2ランに。蛭間は感極まり、ホームに帰ってくる間に涙を浮かべて一周。対する慶応ベンチは唖然として表情で、現実を受け入れられないような雰囲気だった。

 もちろん、その裏の攻撃は残っていた。1死から代打でヒットを放つ気迫を見せたものの、最後は早川が見事に抑え、早稲田が劇的な形で10季ぶりの優勝を決めたのだった。

 ドラフト1位のエース対決は本当に見どころ十分だった。しかし、この試合の主役は、文字通り「全員」だった。両軍のプライドがぶつかりあった熱戦は、少し肌寒い神宮球場にあって熱気が満ち溢れていた。

構成●SLUGGER編集部
 
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