プロ野球

広島新助っ人・クロンは米メディア絶賛の長距離砲。エルドレッドが語った「家族」

THE DIGEST編集部

2020.11.18

マイナーで大活躍したクロン(左)が広島に新加入。エルドレッド(右)二世と呼ばれるのはパワーだけでなく他にも理由が。写真:田口有史(エルドレッド)、Getty Images

 広島は16日、マイナー通算151本塁打のケビン・クロン内野手とドビーダス・ネヴァラウスカス投手と契約したことを発表した。ネヴァラウスカスはメジャー史上初のリトアニア人メジャーリーガーという"異色"の経歴を持つことが話題だが、「来季の活躍が楽しみ」という点ではクロンだろう。

 というのも、クロンの日本球界入りが報道された11月上旬、マイナーリーグ公式サイトが「ケビン・クロンがトレードマークのパワーを、日本でのキャリアに持ち込もうとしている」との見出しで特集記事を組むほど、クロンのパワーヒッターぶりは出色なのである。

 現在27歳のクロンは2014年のドラフトでダイヤモンドバックスから14巡目(全体420位)で指名されてプロ入りし、19年にメジャーデビュー。今季は8試合(20打席)で一本もヒットを打てなかったものの、1年目には39試合で打率.211ながら6本塁打、長打率.511をマーク。何より凄いのがマイナーでの実績だ。14年からの6年間でマイナー通算151本塁打、打率.280、出塁率.348、長打率.529。特に昨シーズンは3Aパシフィックコースト・リーグで最多の38本塁打を打ち、打率.331、出塁率.449、長打率.777を記録している。

 先に記事では、クロンがダイヤモンドバックス傘下3Aリノでの通算186試合で60本塁打を放って球団新記録、球団史上3位の202打点をマークしたことを伝え、「キャリアを通して驚くべきペースで本塁打を放った。クロンはそのパワーと性格により、NPBですぐにスターになるはずである。リノとアリゾナの多くのファンたちが世界の反対側から応援する」とエールを送っている。
 
 広島で右の長距離砲かつ一塁手といえば、やはり7年間在籍して14年に本塁打王を獲得したブラッド・エルドレッドを思い起こさずにはいられない。そして何を隠そう、クロンの獲得に動いていたのが、今季から駐米スカウトを務めるエルドレッドその人だったのである。

 エルドレッドは来日1年目、途中加入ながら65試合で打率.262、11本塁打、OPS.780を残すも、翌年は相次ぐ故障で66試合の出場にとどまった。それでも球団は彼を残し、そして14年の本塁打王、以降も随所にそのパワーを発揮してカープ3連覇に貢献した"優良助っ人"だった。かつてブラッド(エルドレッドの愛称)はこんなことを言っていた。

「球団はいつも僕にすごく良くしてくれる。カープに入って2年目、僕は手を故障してしばらく欠場した。思ったほどの成績も残せなかった(66試合で打率.247、13本塁打、OPS.775)。でも、球団は僕を信じて呼び戻してくれて、3年目はすごくいい成績をマークできた。つまり、球団が僕に誠意を示してくれたということさ。僕は、このチームは"一つの大きな家族"みたいなものだと思っている」

 どうしても助っ人外国人に対するハードルは高くなる。数試合結果を残せなければ批判も必要以上にされるし、二軍降格や、仮に復調しても一軍で使ってもらえる機会がなくなることも少なくない。外国人選手の場合は、プレーだけでなく異国での環境にも適応しなければならず、だからこそ"温かい目"で見守ってあげることも時には大事なのだろう。エルドレッドの言葉には、そうした気持ちが感じられた。

 クロンがどんなプレーをするのかは完全に未知数だが、エルドレッドを開花させた広島であれば、"エルドレッド2世"の扱いもお手の物ではないだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
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