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プロ野球

体幹を生かす独自のプレースタイルはそのままに。ついに一軍デビューを果たした中日・根尾昂のポテンシャル

氏原英明

2019.09.30

シーズン142試合目で一軍デビューを果たした根尾。1年目は怪我もあり苦戦したが、随所にポテンシャルの高さを見せた。(写真)朝日新聞社

シーズン142試合目で一軍デビューを果たした根尾。1年目は怪我もあり苦戦したが、随所にポテンシャルの高さを見せた。(写真)朝日新聞社

 プロ初出場はシーズン142試合目、3点リードされた7回の守備からだった。

 ゴールデンルーキーとして騒がれながら、9月27日になって一軍初昇格を果たした根尾昂(中日)のことだ。その日の広島戦では出場機会なし。プロの壁を体感した今シーズンを象徴するような扱いだ。

 与田剛監督や首脳陣の狙いはおそらく、彼の前に立ちはだかっている壁を改めて確認させることだろう。自分の前にどんな選手たちがいて、彼らを乗り越えるための道のりが容易いものではないことを。

 ルーキーイヤーに149安打を放った京田陽太、あるいは今シーズンからセカンドの定位置をつかんだ阿部寿樹がどんな思いでレギュラーを死守しているのかを感じる時間になっているに違いない。もちろん、それは根尾だけでなく、同じタイミングで昇格した高松渡にも言えることだ。


 
 もっとも、根尾が1年目で苦しんだ現状をそれほど不思議なこととは感じていない。根尾とよく比較対象になる同期の小園海斗(広島)はすでに一軍で常時出場しているが、そもそも根尾は体の使い方が特殊で、プロの世界でも他に比較例がなかなかいない選手だ。その彼が、自らの個性を生かしながら結果を出すには、それなりの時間が必要とされる。

「なぜ、根尾くんがこれほどの選手になったのかっていうのは、中学や高校時代など過去をしっかり紐解いていかないといけないと思う。彼がこれまで培ってきたことと、プロに入ってまったく違うことをさせてしまうのは良くないと思います。それは他の選手も同じなんですけど、彼を作り上げた要因を研究していきたいと思う」

 ドラフト会議の席上でそう語っていたのは、他ならぬ与田監督だった。

「まずは根尾の個性を見守るべきだ」。プロ1年目の根尾のパフォーマンスを映像で見た限りでは、指揮官の想いはファームの首脳陣にも共有されていたと言えるのではないか。

 根尾が普通の選手と異なっているのは、ボールを打つ、ボールを捕球する、投げるなどの動作において、体幹の力を生かそうとしている点だ。

 バッティングでは極力ミートポイントを捕手寄りに寄せ、守備面ではボールを取ることと投げることが一体となっている。体幹を使おうとするための体の動きが基本軸になっているのだ。


 

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