日本シリーズが閉幕したことで、アメリカに続き日本でもストーブリーグが幕を開けた。各球団が続々と新外国人選手などを獲得していく中、ある男の去就に日米の球団が熱視線を送っている。
菅野智之。今季開幕13連勝を達成して最多勝を獲得した巨人のエースピッチャーだ。菅野を巡ってはこのオフにポスティングシステムを利用してのメジャー移籍が噂されており、巨人からしたら大エースを失い、またメジャーからしたら優秀な先発投手が市場に出ることを意味している。そして、まだ移籍するかどうかも不明瞭な段階で、現地メディアでは菅野がどの球団に移籍し、どんな契約を手にするのかの予想記事が多く出ているのだ。
もっとも、今季は昨年の不振(菅野レベルの話で)から立ち直り、評価を改めて高めたわけだが、現地スカウトのレポートの多くは菅野の評価を「先発3番手」としている。速球の平均球速は92~93マイル(148~149.6キロ)前後でメジャー平均をやや下回り、スライダーとスプリッター、カーブも平均以上ではあるが突出してはいないとの見方が多い。
しかし、菅野の投球を文字通り“目の当たり”にした人物たちは、彼の才能を最大限に称賛していた。2017年の第4回WBC準決勝、日本はバスター・ポージーやアンドリュー・マッカッチェンといった元MVP、この後にMVPを獲得したクリスチャン・イェリッチ、2年連続で本塁打&打点王に輝いたノーラン・アレナードをはじめとしたオールスター軍団・アメリカ代表と相まみえた。そして、この試合で先発したのが菅野だった。
雨が降り注いだドジャースタジアムでの一戦。その冷えた空気と雨を、菅野のボールが切り裂いていった。ストレート、変化球の精度は抜群。名だたるスターをほぼ完璧に抑え込み、6回3安打6奪三振、自責点0でマウンドを降りた。試合は1対2で惜敗したものの、この試合で一番輝いていたのが菅野だったのは言うまでもない。
「日本の先発投手は、ビッグリーグの投手のようだった」。試合後、アメリカ代表の指揮官を務め、1997年に世界一、最優秀監督に3回選ばれている名将ジム・リーランドが開口一番こう言葉を並べた。「どれだけ印象的だったか、なかなか言葉にするのは難しい。本当に素晴らしかったんだ。外角のコーナーに決める速球、カウント3-0から投じたスライダー。本当に印象的だったよ」
2013年にMVPを獲得したピッツバーグの英雄、マッカッチェンもこれに同意する。「かなりコントロールが良かった。投球を完璧に制御して、僕たちにヒットするチャンスを与えなかった。」
この試合の菅野の4シーム(速球)の平均2513回転はメジャーでもトップ20に入り、またカーブの平均回転数も2016シーズンで彼を上回る選手がいないほど強烈だった。もちろん、毎試合で同じ投球ができるとは限らないが、状態が良ければ超強力打線を抑え込めるだけのポテンシャルを持っていることを証明できたわけである。
あれから4年近い月日が流れ、そもそも菅野の去就も分からない中でも、なぜメジャーリーグ関係者が注目し続けるのか。その一端は、アメリカで見せた菅野の投球にあったと言っていいだろう。
構成●SLUGGER編集部
菅野智之。今季開幕13連勝を達成して最多勝を獲得した巨人のエースピッチャーだ。菅野を巡ってはこのオフにポスティングシステムを利用してのメジャー移籍が噂されており、巨人からしたら大エースを失い、またメジャーからしたら優秀な先発投手が市場に出ることを意味している。そして、まだ移籍するかどうかも不明瞭な段階で、現地メディアでは菅野がどの球団に移籍し、どんな契約を手にするのかの予想記事が多く出ているのだ。
もっとも、今季は昨年の不振(菅野レベルの話で)から立ち直り、評価を改めて高めたわけだが、現地スカウトのレポートの多くは菅野の評価を「先発3番手」としている。速球の平均球速は92~93マイル(148~149.6キロ)前後でメジャー平均をやや下回り、スライダーとスプリッター、カーブも平均以上ではあるが突出してはいないとの見方が多い。
しかし、菅野の投球を文字通り“目の当たり”にした人物たちは、彼の才能を最大限に称賛していた。2017年の第4回WBC準決勝、日本はバスター・ポージーやアンドリュー・マッカッチェンといった元MVP、この後にMVPを獲得したクリスチャン・イェリッチ、2年連続で本塁打&打点王に輝いたノーラン・アレナードをはじめとしたオールスター軍団・アメリカ代表と相まみえた。そして、この試合で先発したのが菅野だった。
雨が降り注いだドジャースタジアムでの一戦。その冷えた空気と雨を、菅野のボールが切り裂いていった。ストレート、変化球の精度は抜群。名だたるスターをほぼ完璧に抑え込み、6回3安打6奪三振、自責点0でマウンドを降りた。試合は1対2で惜敗したものの、この試合で一番輝いていたのが菅野だったのは言うまでもない。
「日本の先発投手は、ビッグリーグの投手のようだった」。試合後、アメリカ代表の指揮官を務め、1997年に世界一、最優秀監督に3回選ばれている名将ジム・リーランドが開口一番こう言葉を並べた。「どれだけ印象的だったか、なかなか言葉にするのは難しい。本当に素晴らしかったんだ。外角のコーナーに決める速球、カウント3-0から投じたスライダー。本当に印象的だったよ」
2013年にMVPを獲得したピッツバーグの英雄、マッカッチェンもこれに同意する。「かなりコントロールが良かった。投球を完璧に制御して、僕たちにヒットするチャンスを与えなかった。」
この試合の菅野の4シーム(速球)の平均2513回転はメジャーでもトップ20に入り、またカーブの平均回転数も2016シーズンで彼を上回る選手がいないほど強烈だった。もちろん、毎試合で同じ投球ができるとは限らないが、状態が良ければ超強力打線を抑え込めるだけのポテンシャルを持っていることを証明できたわけである。
あれから4年近い月日が流れ、そもそも菅野の去就も分からない中でも、なぜメジャーリーグ関係者が注目し続けるのか。その一端は、アメリカで見せた菅野の投球にあったと言っていいだろう。
構成●SLUGGER編集部