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プロ野球

【2020総括|日本ハム】守備部門が軒並みリーグワーストに低迷し、助っ人打者もまったく機能せず

出野哲也

2020.12.06

守備難の象徴となってしまった清水(写真)。ドラフトでは即戦力捕手の古川裕大も加わり、来季は勝負の年になる。写真:滝川敏之

守備難の象徴となってしまった清水(写真)。ドラフトでは即戦力捕手の古川裕大も加わり、来季は勝負の年になる。写真:滝川敏之

▶今季の総括
 53勝62敗で5位。開幕前は5~6位との予想だったから、想定通りの結果ではあった。低迷の最大の要因は、以下の数字が如実に物語っている。

守備率.983/75失策(6位)
併殺86回(5位タイ)
捕逸13個(6位)
盗塁阻止率.216(6位)
非自責点57(6位)

 見事なくらい守備部門のワーストを独占している。エラーを頻発し、併殺も取れない野手、球を後ろに逸らし盗塁も防げない捕手。キャッチャーの13失策は他球団の約2倍で、これだけ自滅に自滅を重ねては勝てるわけなどなかった。

 敗因は守乱だけではない。攻撃面では89本塁打がリーグワースト。中田翔の31本、大田泰示の14本に次ぐのは清宮幸太郎の7本だ。外国人打者はビヤヌエバ(4本)と王柏融(2本)の合計6本。2人とも、昨年も振るわなかったのだから、あらかじめ第3の外国人野手を用意するなり、開幕後に獲得するなり手を打たなかった点は、編成の怠慢と言わざるを得ない。

 新助っ人のバーヘイゲンが防御率3.22、奪三振率9.27と予想以上に好投したこと、近藤健介が.465という高水準で最高出塁率のタイトルを獲得したことが数少ない光明だった。
 
 大方の予想に反して栗山英樹監督が留任したのも、低迷の原因を現場だけに押し付けるわけにはいかないからだろう。投手陣も、昨年まで強みだったブルペンが、秋吉亮と公文克彦の不振、石川直也らの故障離脱によって半崩壊状態に陥った。

 来季は有原航平、西川遥輝と投打の主力がポスティングでMLBへ移籍する可能性が高い。打・投・守のすべてにわたり、立て直さなければならない材料は山積みだ。

▶2021年のキーマン
清水優心

 捕手の守備成績の酷さは前述した通りだが、13失策中8つ、13捕逸中7つは清水が犯したもの。69試合しか出ていないのにこの数字で、盗塁阻止率も.200。リード面でも、併用された宇佐見真吾と先発バッテリーを組んだ方が防御率の良い投手が多かった。

 打撃でも打率.193/OPS.545とあっては厳しい声が飛ぶのも当然だが、まだ6年目の24歳。19年はOPS.687、盗塁阻止率.345と順調に成長してもいた。扇の要がしっかりしてこそ、落ち着いた戦いができるというもの。ドラフトで即戦力候補の捕手を獲得したことを発奮材料にしてもらいたい。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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