プロ野球

【12球団ドラフト展望:日本ハム】意中の佐々木を射止めることができるか。次代の正遊撃手獲得も目標

出野哲也

2019.10.05

他球団に先駆けて佐々木の1位指名を公言。「その年、最も優れた才能を指名する」というシンプルかつ明瞭なスタンスは今年も変わらない。 写真:徳原隆元(THE DIGEST写真部)

【2019ドラフトのテーマ】
・長期的視野に立つ方針を今年も貫く
・右打ちの正遊撃手候補獲得


 新機軸のショートスターター/オープナー作戦を導入した今季は、マルティネス、上沢直之ら長いイニングを投げられる先発要員が相次いで怪我に倒れる誤算が発生。そのせいでブルペンにとてつもない負担がかかり、終盤戦の大失速の一因になった。打線もロッテへ去ったレアードの穴を埋められず、リーグ最少の93本塁打と深刻なパワー不足に陥った。

 それでも、ドラフトでこうした弱点をすぐに埋めようとはしないのが日本ハムのやり方。あくまでドラフトは将来を見据えてのもので、直近のペナントレースの結果で方針が左右されることはない。ファンの間では即戦力の先発候補を求める声が高いが、その点は堀瑞樹や石川直之を先発に転向させれば解決するだろう。
 というわけで、1位は宣言通り佐々木朗希(大船渡高)で確定。大谷翔平(現エンジェルス)と比較して、栗山英樹監督が「素材感は別だけど、投手としては全然上」と惚れ込むダイヤの原石を狙い通り獲得できるかどうかが、全体の成否を左右することになる。では、もし外れた場合はどうするのか。西純矢(創志学園高)が消えていた場合は、将来の正遊撃手候補を指名するのではと思われる。

 中島卓也のFA流出を見越して、今季は石井一成や平沼翔太を積極的に起用していたが、いずれも左打者。ドラフト上手と言われるチームだけあって年齢的な偏りはほとんどないけれども、唯一バランスの悪さを感じるのは、25歳以下で右打ちの遊撃手が不在である点だ。森敬斗(桐蔭学園高)のような優秀な左打ちを回避してまで右打ちを取る意味はないとしても、同程度の技量なら右打者が望ましい。

 1位クジを複数回外した場合は紅林弘太郎(駿河総合高)に行くかもしれず、中位で川野涼多(九州学院高)という選択肢もある。三塁もレギュラーが固定できていないが、昨年2位で指名した野村佑希の成長を待って、外国人選手の補強で済ませるのではないか。