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プロ野球

【12球団ドラフト展望:オリックス】投手育成には定評も野手が人材難。石川の一本釣りを狙う可能性は?

出野哲也

2019.10.04

今季29本塁打を放ち、侍ジャパンにも選出された吉田正。得点力不足解消のためにも、彼に続く強打者の獲得が望まれる。 写真:徳原隆元(THE DIGEST写真部)

今季29本塁打を放ち、侍ジャパンにも選出された吉田正。得点力不足解消のためにも、彼に続く強打者の獲得が望まれる。 写真:徳原隆元(THE DIGEST写真部)

【2019ドラフトのテーマ】
・「俊足巧打型」ではなく強打の野手獲得
・人材不足が深刻な捕手の底上げ


 3年ぶりの最下位に転落した最大の原因は、リーグ最少の得点数(544)に終わった攻撃力不足にある。チーム打率.242は最下位、102本塁打も下から2番目。ここ数年、高校生を積極的に採っていこともあり、野手の年齢的なバランスは悪くはないが、長距離砲が見当たらない。日本人打者で吉田正尚に次ぐ本塁打数は小島脩平と杉本裕太郎の4本、二軍でも杉本(14本)の次はルーキー・太田椋の6本。俊足巧打型の選手を多く集め、強打を売りにする選手自体が少ないので、当然の結果とも言える。

 というわけで、今年のドラフトではスラッガーになり得る野手を指名したい。候補の一番手は石川昂弥(東邦高)。U-18W杯でも木製バットに見事に適応し、早期に一軍の戦力となれそうな点も魅力だ。1位では投手の指名が有力視されているが、石川は外れ1位だと重複の可能性も高く、思い切って一本釣りを狙う手もある。地元の大阪には井上広大(履正社高)や片山勢三(パナソニック)といった大砲候補もいるので、石川を逃した場合は彼らがターゲットになるだろう。
 もう一つの補強ポイントは捕手。若月健矢をはじめ、今季は一軍に出場した捕手全員が打率1割台という恐ろしい事態に陥った。大学時代のポジションに再挑戦中の頓宮も、プロの水準に達するほど守備が向上するかは不透明だ。

 そこで強肩自慢の海野隆司(東海大)を上位指名するとの噂も流れているが、打力を考えれば佐藤都志也(東洋大)のほうがニーズに合う。まだ26歳の髙城俊人を戦力外にしたのは少し意外だったが、それもドラフトで捕手を指名する前兆と見ていいだろう。

 オリックスのドラフトの傾向として、他球団との競合を避けて一本釣りを狙うことが多い。佐々木朗希(大船渡高)、奥川恭伸(星稜高)、森下暢仁(明治大)の“ビッグ3”が頭一つ抜け出た感の強い今年も、これまでと同じように独自路線を貫いて石川や佐藤の一本釣りを狙うのか。まずはこれが最大の焦点になりそうだ。

 では、投手はどうか。投手の育成はオリックスの強みでもある。1年目にフル回転した黒木優太がトミー・ジョン手術に追い込まれるなど起用法に問題はあるが、山本由伸や山岡泰輔に加えて榊原翼やK-鈴木ら若手が次々に台頭。今年も好素材の獲得に期待がかかる。

 早期の浮上を狙うなら即戦力が欲しいわけで、競合を避けて1位で河野竜生(大阪ガス)を指名するのではとの噂もある。3位以降で前佑囲斗(津田学園高)、落合秀市(和歌山東高)ら高校生を指名し、山本や榊原のように育てるのも面白いが、前述の通りに1位で石川、2位で捕手を指名した場合、3位で即戦力投手を回避するのは難しい。この辺の順位で取れそうな候補には大西広樹(大商大)、坂本裕哉(立命館大)ら関西勢の名が浮かぶ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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