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プロ野球

【プロ野球トレード収支の大検証:第3回】三冠王・落合の中日放出と引き換えに、投手力強化を目指したロッテの目論見は大失敗

出野哲也

2021.01.02

中日移籍後の落合は三冠王こそ獲得できなかったものの、OPSリーグトップは5度。相変わらず球界最強打者であり続けた。写真:産経新聞社

中日移籍後の落合は三冠王こそ獲得できなかったものの、OPSリーグトップは5度。相変わらず球界最強打者であり続けた。写真:産経新聞社

1987年
落合博満(ロッテ)⇔牛島和彦、平沼定晴、桑田茂、上川誠二(中日)
中日 +257.0/ロッテ -274.4


落合博満    中日    打率.298、268本塁打、905打点    276.1
牛島和彦    ロッテ    20勝25敗49S、防御率3.49    19.1
平沼定晴    ロッテ    17勝19敗5S、防御率4.44    -28.4
桑田茂    ロッテ    0勝0敗0S、防御率6.35    -1.6
上川誠二    ロッテ    打率.271、29本塁打、136打点    -1.9

 1986年、4位に終わったロッテは稲尾和久監督を解任し、後任に有藤通世を据える。これに対し。稲尾を信奉する主砲の落合は「稲尾さんのいないロッテに自分はいる必要はない」と反発した。打率.360、50本塁打、116打点で2年連続3度目の三冠王となったばかりの落合は、年俸が日本人選手初の1億円を超えることも確実視されていた。財政事情が厳しいロッテにとってこの巨額年俸は重荷であり、先の発言もあってトレードの動きが本格化した。
 
 移籍先には、以前から噂のあった巨人が有力視されていた。しかし、ロッテが交換相手として、当時の主軸である原辰徳、中畑清を要求したのに対し、巨人が提示したのは松本匡史や角三男だったために交渉は難航。ここで、中日の新監督に就任した星野仙一が、巨人に落合を渡すのを阻止するため、エースの小松辰雄すらも放出する構えで動き出す。リリーフの欲しいロッテは抑えの切り札だった牛島を指名し、これに正二塁手の上川、若手投手の桑田、平沼を合わせた4人で合意を見た。

 牛島は中日での7年間で4度の2ケタPVを記録し、通算では47.4だった。上川は入団2年目の83年以降、毎年規定打席に到達し、86年は打率.295でリーグ8位に入っているが、通算PVは-5.2とそれほど良くはなかった。平沼はトレードまでは3年間で1勝3敗、防御率5.90、PV-26.4と実績に乏しかったが、21歳と若く、今後の成長に期待しての獲得。桑田は4年間で80試合に登板して6勝12敗、PV-11.4を記録していた。
 
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