プロ野球

【2000年代「シーズン成績」トップ3|野手編】本塁打と安打で日本記録誕生! 最高出塁率は意外な選手が?

SLUGGER編集部

2020.12.31

バレンティン(左)が本塁打、秋山(右上)は安打数で日本新記録を樹立。柳田(右下)は2000年1位の部門はないものの、総合力の高さが光った。写真:田中研治(バレンティン)、徳原隆元

 2000年代以降のプロ野球も、数々の名場面や偉大な記録が生まれた。打撃部門では、本塁打や安打などで日本記録が塗り替えられている。では、表彰対象となっている7つの部門で、00年以降のシーズン記録トップ3を抽出すると、一体どんな選手のどんな記録が上位に来るのだろうか? 打率から順に見ていこう。

●打率                
1位:イチロー(オリックス) .387|2000年
2位:内川聖一(横浜) .378|2008年
3位:柳田悠岐(ソフトバンク) .363|2015年

 2000年代のシーズン打率1位は"歴代最高の安打製造機"イチロー。00年に記録した自己ベストの打率.387は1986年にバース(阪神)が記録した.389に次ぐ歴代2位で、7年連続の首位打者を置き土産に翌年からアメリカへ渡った。そして、渡米1年目にも首位打者を獲得し、MLBでも偉大なキャリアを築いたのは周知のとおりだ。

 内川が08年に記録した打率.378は右打者の歴代最高打率。11年にはFA移籍したソフトバンクで史上2人目の両リーグ首位打者に輝いている。柳田はこの年、トリプルスリーを達成。彼の場合は"巧打者"ではなく、今季も含めてOPSリーグ1位を5回記録するなど球界屈指の"強打者"である点が、より一層の凄味を感じさせる。
 
●本塁打                
1位:バレンティン(ヤクルト)60本|2013年
2位:ローズ(近鉄)55本|2001年
カブレラ(西武)55本|2002年

 本塁打のトップ3はいずれも「助っ人外国人」「その年にMVP受賞」という共通点を持つ。01年のローズはパ・リーグの外国人選手初の50本塁打を達成し、王貞治が持っていたプロ野球記録の55本塁打にも並んだ。しかし、終盤は自身も不調に陥った一方で、王が監督を務めていたダイエーとのシーズン最終戦で4打席18球のうちストライクは2球だけと勝負を避けられ、記録更新はならなかった。翌年にはカブレラも55号に到達。だが、こちらもなかなか勝負してもらえず、右打席のカブレラが左打席に立ったり、ヘルメットを逆にかぶる"抗議活動"も話題になった。

 聖域と思われた王の記録をついに塗り替えたのが、13年のバレンティンだった。シーズン序盤から異常なペースでアーチを量産すると、8月には月間新記録となる18本塁打を放ち、111試合目で50号の大台に到達。その後は四球攻めにあったが、9月11日(122試合目)に55号に並ぶと、15日の阪神戦でプロ野球新記録となる56号を叩き込み、最終的に60本まで伸ばした。この年は長打率(.779)でもプロ野球記録を更新している。
 
●打点                
1位:今岡誠(阪神) 147打点|2005年
2位:タイロン・ウッズ(中日) 144打点|2006年
3位:ブランコ(DeNA) 136打点|2013年

 打点数の2000年代トップは打率3割(.279)も30本塁打(29本)もクリアしていない05年の今岡。歴代トップ10の中でも、両部門とも大台をクリアしていないのは今岡だけという事実が、彼の特異さを物語っている。この年の今岡は得点圏打率.371とチャンスに強かったのは事実だが、1番の赤星憲広から4番の金本知憲までいずれも出塁率が高い選手が揃っていた点が大きかった。ちなみに、満塁時では25打数15安打(打率.600)、4本塁打、49打点を稼いでいる。

 2位のウッズは同年に本塁打(47本)と打点で中日の球団記録を更新。今も語り草となっているのが、マジック1で迎えた10月10日の東京ドームでの巨人戦だ。ウッズは先制3ランに加えて延長12回に満塁弾の計7打点。優勝を決定付ける一発を放った直後、落合博満監督が感激の涙を残したことでも知られている。13年のブランコはシーズン序盤から絶好調で三冠王も狙えるペースで打ちまくったが、日本新の60本塁打を記録したバレンティンに快挙を阻まれた。それでも41本塁打を放ち、打率(.333)と打点(136)の二冠王に輝いている。
 
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2010年のハイレベルな安打数争い