プロ野球

ドキュメント8.20 チーム変革の第一歩となったオリックス監督交代劇の舞台裏【オリ熱コラム2020特別編】

どら増田

2020.12.31

中嶋監督代行が就任してからいきなり3連勝。若手を積極的に登用し、ベンチのムードも明らかに変わった。写真:産経新聞社

 新型コロナウイルスに振り回された2020年もまもなく終わり、新年を迎える。「オリ熱コラム」も今年はこれで最後になるので、今回はこの1年、現場取材で感じた印象的なエピソードを書きたい。

 今年は、春季キャンプとオープン戦で充実した取材ができたという手応えがあった。しかし、シーズン開幕が延期になると、新型コロナウイルス感染対策のガイドラインを作成したNPBの方針により、選手や監督、コーチとの接触は代表取材のみという制約が設けられた。そのため、オープン戦までは可能だった(他球団ではオープン戦から規制があった球団もあったと聞く)選手への独自取材が不可能になってしまったのは正直痛かった。

 そこで、京セラドームに足を運び、その内容からキャンプやオープン戦で取材したことを照らし合わせながら記事を書いていこうと腹を決めた。そんな中で、8月18日からの西武6連戦を迎えたが、チームは最初の2試合に敗れて3連敗。20日にオリックスが敗れ、ソフトバンクが勝つか引き分ければ早くも自力優勝が消滅するという状況を迎えた。
 
 この日は、まず西武の選手の不祥事が発覚したことから、急遽、夕方に球団幹部による謝罪会見が京セラで行われることになった。ビジター球団が他球団の本拠地でこのような会見を行うのは極めて異例。試合開始前はこの西武の会見に関する記事を書いていた。

 一方、試合は6回までにオリックスが5点のビハインド。「万が一」に備えてロッテ対ソフトバンク戦の動向もチェックしていると、7回表までソフトバンクが2点リードしていたが、その裏、ロッテが同点に追いつく。「引き分けかな」と思った矢先、延長10回にソフトバンクが2点勝ち越した。

 一方、京セラではオリックスが追い上げていた。しかし、ロッテが10回裏に3点を入れてドラマチックなサヨナラ勝ちを収める。

 ロッテが勝ったことで、オリックスの自力優勝が消滅することは「きょうはないな」と思った10分後、オリックスは4対6で敗れて4連敗。西村徳文監督はいつものように監督インタビューで敗因を述べると監督室へ入っていった。