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プロ野球

「厳しく、明るく、妥協なきキャンプに」オリックス・中嶋聡監督が意気込み〈SLUGGER〉

北野正樹

2021.01.31

最下位から「脱却するためには、打つ、守る、走る、投げる、のすべてを強化しなければならない」と中嶋監督は語った。写真:代表撮影

最下位から「脱却するためには、打つ、守る、走る、投げる、のすべてを強化しなければならない」と中嶋監督は語った。写真:代表撮影

 オリックスの中嶋聡・新監督が31日、2月1日から宮崎市内で始まるキャンプを前に代表取材で「厳しく、明るく、妥協なきキャンプにしたい」と語り、「どこまで自分を追い込めるか」と個人練習に重きを置く意向を示した。

 前日に宮崎入りした選手らとは別に、31日午前に空路、宮崎入りした中嶋監督。空港から自主トレが行なわれていた清武総合運動公園(SOKKENスタジアム)を視察した後、湊通夫球団社長らと同市内の小戸神社を参拝し、宿舎のホテルで行われたミーティングに出席した。

 代表取材で中嶋監督は、「今更、蒸し返したくないが(2年連続の)最下位が原点。もう味わいたくないので、そこから脱却するためには、打つ、守る、走る、投げる、のすべてを強化しなければならない。全員が合わせないと勝ち抜けない。全員が戦力、全員が伸びてほしい」と、全選手にレベルアップを求めた。

 2軍の小林宏監督以外は、首脳陣の1、2軍の区別を外した中嶋監督。キャンプでは選手をA、B、C組に組分けした。3年目の太田椋、宜保翔、2年目の紅林弘太郎、勝俣翔貴各内野手ら若手が多いA組に対し、16年目のT-岡田や11年目の後藤駿太、10年目の安達了一ら中堅、ベテラン選手が多いB組。この組分けについて「A、Bで分けているが、1、2軍ではない。連係プレーは(A、B組で)ごちゃ混ぜになるが、B組は自分たちのペースが分かっているメンバー。何年もプロでやってきて、何日で仕上げるかがわかっている。A組は常にピークになるようこちらがお尻を押すこともある」と、初めて組分けの意図を説明した。A組にいるから安泰なのではなく、A組の中で常に競争原理が働くというわけだ。
 
 選手に求めるのは、自主性だ。中嶋監督が言う「厳しさ」は、全体練習が終わってからの、個人練習に向けてのものだった。「全体練習はチームの決めごとを正確に、強く、速く出来るかというもの。個人練習は、自分をどこまで追い込めるか。個人練習は自分で考えるもので、それすら人に任せたら(技術は)身につかない。考えないとすぐに忘れる」と、選手に自覚と自立を求めた。

 「(ポジション争いなど、これまでと)同じことをやってもしょうがない。いろんなことを考えながら、何がベストかをアンテナを張ってやっていきたい」と中嶋監督。2軍監督時代も、必要と考えない練習時間は削り短時間集中でキャンプを行なってきた。合理的で淡白な練習に見えるものの、その反面、選手に自ら考える習慣を身に着けさせた。選手たちの「変わらなければいけない」という気持ちを最大限尊重しながら、チームを根底から変えるために臨む中嶋監督の手腕に注目だ。

文●北野正樹(フリーライター)

【著者プロフィール】
きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。

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