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マリナーズ栄光の「51」、偉大な先人の”基準”をクリアしたイチローに再脚光。満票での殿堂入りに米メディアが太鼓判<SLUGGER>

THE DIGEST編集部

2021.02.16

米メディアは、イチローを「偉大な開拓者だった」と称賛した。(C)Getty Images

米メディアは、イチローを「偉大な開拓者だった」と称賛した。(C)Getty Images

 イチローが残した強烈なインパクトは、いまだメジャーリーグのファンの心に焼き付いているようだ。

 米スポーツ専門サイト『FANSIDED』では、マリナーズのシーズン開幕に向けたカウントダウンに合わせて、残り日数にちなんだ選手の紹介記事を掲載。そのシリーズの51の回では、「2人の素晴らしい51番を振り返る」と題して、通算303勝のランディ・ジョンソンとともにイチローを取り上げている。

 マリナーズの51番という数字について、「ニューヨークにおける2番(デレク・ジーター)やサンフランシスコにおける24番(ウィリー・メイズ)などと同じように、51番はシアトルにとって特別だ」「クレイジーなのは、51番をつけたマリナーズの偉人が2人もいること。背番号について同じことを言えるチームはそう多くない」と、同サイトは驚きを示している。

 記事では、すでに殿堂入りを果たしているランディ・ジョンソンの、マリナーズでの通算成績(防御率3.42、2162奪三振、bWAR39.0)といった功績を紹介。その上で、「ビッグユニット(ランディ・ジョンソンの愛称)は次に51番をつけるものに高い基準を設定していたわけだが、次の選手はその基準を満たした」として、2001年に見事に後を引き継ぎ、さらに箔をつけたイチローを称賛しているというわけだ。

 また同メディアは、シーズンMVPや新人王、10度のゴールドグラブ賞に3度のシルバースラッガー賞、10度のオールスター出場とそのうち1回でのMVP獲得など、輝かしいイチローの成績を並べた上で、記事ではそれ以外に2つの優れたポイントを指摘する。
 
 1つ目は、そのプレースタイルでアメリカ球界に大きな影響を及ぼしたこと。「彼はさまざまな点で野球というゲームを変えた。バッティングの性質を変え、パワーだけが重要でないことを証明した」と同メディアが述べたように、豪快に長打を狙っていくスタイルが主流だったメジャーリーグにあって、イチローはヒットや小技で結果を残し続けた。時にその姿勢は賛否両論を呼んだこともあったが、歴代2位のスピード記録で3000安打を達成するなど、“異端”として存在感を放ち続けた。

 2つ目は、日本球界との橋渡し役を果たしたことだ。「彼はまた、日本人選手に扉を開いた。彼はメジャーに挑戦した初めての日本人選手ではないが、偉大な開拓者だった」(『FANSIDED』)。イチローより前には野茂英雄をはじめ10人の選手がメジャーの舞台に立っていたが、いずれも投手。そして“野手初”のメジャーリーガーになったのが、イチローだった。

 日本で7年連続首位打者という圧巻の成績を残した男が結果を残せなければ、「やはりNPBの野手は使えない」と見なされてしまった可能性も十分にあった。しかし、天才打者は1年目に打率.350で“8年連続”となる首位打者、新人歴代最多の242安打、リーグ最多56盗塁という衝撃的な成績を残してMVPと新人王をW受賞。NPBの野手に対する価値観そのものを大きく変えた。そしてイチローの成功以降は投手に限らず野手も海を渡るようになり、日本のスター選手はメジャー移籍の可能性が当然のように報じられることになっていった。
 
 記事ではこれらを踏まえ、2025年に殿堂入りの資格を得るイチローが「満票での殿堂入りを達成できる」と、マリアーノ・リベラに次ぐ史上2人目の快挙の可能性にも言及している。

 また、同記事の背番号というテーマについて言えば、永久欠番についても気になるところだろう。2012年のマリナーズ退団から復帰まで、そして2019年の引退後も、イチローの後に51番をマリナーズでつけた選手はいない。イチローが殿堂入りした際には、永久欠番の話も出るのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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