プロ野球

【12球団ドラフト展望:西武】投手陣の立て直しが急務だが、森下ら即戦力ではなく高校生の指名も一考の余地あり

出野哲也

2019.10.10

リーグ2連覇は果たしたものの、防御率リーグワーストと低迷したライオンズ。1位指名は即戦力の呼び声高い森下が濃厚と言われているが……。写真:徳原隆元(THE DIGEST写真部)

 最高出塁率以外の打撃5タイトルをすべて異なる選手で西武勢が独占するという、驚異的な打線の力でリーグ2連覇を達成した。反面、チーム防御率4.35は5位のオリックスを0.30も下回りリーグワーストだった。

 誰が考えても即戦力投手が欲しいと思う状況で、実際1位には森下暢仁(明治大)の指名が予想されている。仮に森下ではなく奥川恭伸(星稜高)や佐々木朗希(大船渡高)に行った場合も、クジに外れれば大学・社会人投手にシフトする可能性は高い。だが、本当にそれが得策なのか。
 
 というのも、今季の松本航は別として、ここ数年で成果を上げている投手は髙橋光成、今井達也、平良海馬ら高卒が多く、大学・社会人出身者は外れも散見される。しかも今年のドラフト候補は高校生が質・量とも豊富。となれば、リーグ2連覇で心の余裕も生まれているはずなので、長い目で見てエース級になり得る素材を取るべきではないか。外れ1位~2位で宮城大弥(興南高)、及川雅貴(横浜高)、2~3位では渡辺久信GMの出身地・群馬の井上温大(前橋商)も狙い目だ。

 もっとも、即戦力投手の補強も不可欠。今季はセットアッパーの平井克典の尋常ではないフル回転ぶりが話題になった。まだ若い平良の酷使を避ける意味でも、1年目から一軍で戦力になる投手も加えておくべきだろう。10年ドラフト1位指名の大石達也や高木勇人ら多くの中堅どころが戦力外になったことも、投手の大量指名を予感させる。