百戦錬磨の指揮官の言葉は、新時代の訪れを予感しているかのようだった。
初日の第2試合、大会屈指の好カードに挙げられていた仙台育英対明徳義塾の試合は、1対0で仙台育英が勝利。たった1点の差だったが、いつも強気な明徳義塾・馬淵史郎監督がただ敗戦を素直に受け止めていた言葉が印象的だった。
「結果は0対1だけれども、実力差のある0対1だった」
安打数を見ると、確かに両者の差は大きく離れていたかもしれない。
四国大会を制した明徳義塾打線が、仙台育英の2人の投手にたったの1安打しか記録できなかったのだ。チャンスはほぼ1度のみ。その1度でさえ、継投で逃げ切られた。
「継投は100%あると思っていたよ。だから、驚かなかった。ただ、相手のチャンス(こちらのピンチ)を切り抜けたら明徳に流れが来るものだけど、来なかった。」
数々の修羅場をくぐり抜けてきた馬淵監督だけに、今日のような試合展開でも、ひっくり返せるはずだった。しかし、それができなかった。馬淵監督はそこに両チームの違いを感じていたのだろう。
一方、勝った方の仙台育英にとっては、馬淵監督の言う「力の差」はまったく感じなかったという。
仙台育英・須恵航監督はこう振り返っている。
「簡単に勝たせてもらえないなと思いました。馬淵監督の(勝利への)執念が選手たちに乗り移っていた。同点に追いつかれたら、ひっくり返されるだろうなと思って戦っていました」
相手は百戦錬磨のベテラン監督で、自身は就任4年目で初のセンバツの舞台。若きリーダーからしてみれば、大きな存在に見えていたに違いない。
「僕が初めて甲子園で試合を見た時の試合が明徳義塾だった。僕の人生の中では、いつも甲子園には馬淵さんがいる。そんな印象がありました」
もっとも、須恵監督は若さゆえの勢いのままに馬淵監督と対峙していたわけではない。好投手との評判のあった相手エースの代木大和をきっちり対策し、投手陣は明徳打線をどう抑え切るかを緻密に考えていた。
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初日の第2試合、大会屈指の好カードに挙げられていた仙台育英対明徳義塾の試合は、1対0で仙台育英が勝利。たった1点の差だったが、いつも強気な明徳義塾・馬淵史郎監督がただ敗戦を素直に受け止めていた言葉が印象的だった。
「結果は0対1だけれども、実力差のある0対1だった」
安打数を見ると、確かに両者の差は大きく離れていたかもしれない。
四国大会を制した明徳義塾打線が、仙台育英の2人の投手にたったの1安打しか記録できなかったのだ。チャンスはほぼ1度のみ。その1度でさえ、継投で逃げ切られた。
「継投は100%あると思っていたよ。だから、驚かなかった。ただ、相手のチャンス(こちらのピンチ)を切り抜けたら明徳に流れが来るものだけど、来なかった。」
数々の修羅場をくぐり抜けてきた馬淵監督だけに、今日のような試合展開でも、ひっくり返せるはずだった。しかし、それができなかった。馬淵監督はそこに両チームの違いを感じていたのだろう。
一方、勝った方の仙台育英にとっては、馬淵監督の言う「力の差」はまったく感じなかったという。
仙台育英・須恵航監督はこう振り返っている。
「簡単に勝たせてもらえないなと思いました。馬淵監督の(勝利への)執念が選手たちに乗り移っていた。同点に追いつかれたら、ひっくり返されるだろうなと思って戦っていました」
相手は百戦錬磨のベテラン監督で、自身は就任4年目で初のセンバツの舞台。若きリーダーからしてみれば、大きな存在に見えていたに違いない。
「僕が初めて甲子園で試合を見た時の試合が明徳義塾だった。僕の人生の中では、いつも甲子園には馬淵さんがいる。そんな印象がありました」
もっとも、須恵監督は若さゆえの勢いのままに馬淵監督と対峙していたわけではない。好投手との評判のあった相手エースの代木大和をきっちり対策し、投手陣は明徳打線をどう抑え切るかを緻密に考えていた。
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