プロ野球

ヤクルトのキーマンはこの3人!高卒3年目のスラッガー、復活を期すベテラン、8回の男に注目だ

勝田聡

2021.03.22

OP戦でパワーを発揮した濱田。チームの新たな目玉選手となるだけの資質は持っている。写真:滝川敏之

 2年連続でセ・リーグ最下位に沈む東京ヤクルトスワローズ。浮上するにはチーム全体の底上げと当時に"プラスアルファ"も必要不可欠である。そんな今年のヤクルトのキーマンを、2016年から神宮球場でのヤクルト戦を全試合観戦中のライターが3人選出した。

【1】ブレイクの予感! 右の大砲・濱田太貴

 高卒3年目の濱田太貴がオープン戦でチームトップの4本塁打を放ち、ブレイクを予感させている。上半身のコンディション不良で開幕は絶望となったのは残念だが、それでも期待値は高い。そんな濱田の持ち味はフルスウィング。しかしその一方で、アクロバティックな打ち方も時折披露し、「打席を見たい」。そう思わせてくれる選手だ。

 四球の少なさはウィークポイントに挙げられるが、明豊高時代に甲子園でサヨナラ押し出し四球を選んだ忍耐力が備わっている。プロの世界でも"我慢"ができるようになれば、村上宗隆に匹敵する強打者へ成長する可能性は十二分にある。外野守備はうまいとはいえないものの、破綻しているわけではない。実際、打球への反応は時を追うごとによくなっているように映る。クッションボールの処理も慣れてくれば、改善が期待できるはずだ。

 若い濱田は打撃、守備ともに成長の過程を楽しむことができるのである。
 
【2】首位打者の復活なるか!? 川端慎吾にも注目

 ベテランの川端慎吾が、復活へ向けて奮闘している。リーグ優勝を果たした2015年に首位打者を獲得したバットマンも、ここ3年は故障に悩まされて苦しみ続けた。しかし、今年はオープン戦で打率.333(9打数3安打)とまずまずの内容。そのうち2安打は川端らしい左方向へのものだった。今年は左の代打としての起用が濃厚だが、オープン戦では守備にもつき、代走での出場もあったほどで身体は整いつつある。

 現時点のヤクルト代打陣では、ネクストバッターズサークルに姿を表すだけで球場がざわつく唯一無二の存在。名前がコールされれば、大声が出せないスタジアムでも盛り上がりは伝播する。

【3】最優秀中継ぎ・清水昇の"ギャップ"

 投手陣では「8回の男」に指名されている清水昇に注目したい。昨季ブレイクした右腕には、2年連続となる最優秀中継ぎのタイトルはもちろん、いまだに手にしていない「初勝利」の期待もかかる。このオープン戦で全5登板して無失点と順調そのもの。しかも、1本のヒットも許していないのだ。

 そんな清水はストレート中心の押し込む投球スタイル、投げ終えたあとの足の跳ね上げから豪快さが感じられる。しかし、球審からボールを受け取る際は帽子を取るなど、育ちの良さをうかがわせる仕草も多い。その"ギャップ"にも注目してほしい。

取材・文●勝田聡

【著者プロフィール】
かつた・さとし/東京都出身。プロ野球、独立リーグ、MLBなど幅広く現地観戦を行っており、その数は年間100試合ほど。2016年から神宮球場でのヤクルト戦を全試合観戦中。
 
NEXT
PAGE
【動画】“ブレイク目前!” 濱田が豪快アーチを東京Dに叩き込む