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高校野球

【センバツ4日目投打のMVP】圧巻の完封劇を演じたエース小園と超高校級捕手・松川。市立和歌山高のバッテリーを揃ってMVPに!

西尾典文

2021.03.23

エース小園(左)の力投を女房役として盛り立てた松川(右)は、走攻守すべてで貢献して市立和歌山を勝利に導いた。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

エース小園(左)の力投を女房役として盛り立てた松川(右)は、走攻守すべてで貢献して市立和歌山を勝利に導いた。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 2年ぶりの開催となった選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手が多いなか、とりわけ見事な活躍を披露した投手、野手を「その日のMVP」として選出していこう。

 大会4日目は以下の選手をセレクトした。

■投手MVP
小園健太(市立和歌山高3年):9回、被安打4、0失点、8奪三振、6四球
 3試合とも見どころのある投手が多く登場したが、1人を挙げるとなると、やはり小園になるだろう。3回までは毎回先頭打者に出塁を許し、最終的に6四球を与えるなど反省点もあったことは確かだが、それでも最後までホームを踏ませなかったのはさすがと言うほかない。中盤は少しペースダウンしたものの、立ち上がりは140キロ台中盤のスピードを連発し(この日の最速は147キロ)、秋と比べてもボールの力は確実にアップしていた。

 中でも見事だったのは、同じ球種でもスピードや変化を意図的に変えられるバリエーションの多さだ。相手の県岐阜商打線も相当小園のことを研究してきたことが伺え、序盤はなかなか空振りを奪うことができなかったが、中盤以降は勝負所で決め球をコーナーや低めに投げ切って8三振を奪った。四球が多かったにもかかわらず、9回を130球でまとめたところにも、試合を作る能力の高さが表れている。また、8回にはノーアウト一塁から素早いバント処理で併殺を完成させるなど、フィールディングも光った。2回戦ではさらに相手打線を圧倒するような投球も期待できそうだ。
 
■野手MVP
松川虎生(市和歌山高3年/4番・捕手)
 第1試合は高木翔斗(県岐阜商)との“超高校級捕手対決”が見どころとなったが、より強烈な存在感を見せたのは松川の方だった。2.00秒を切れば強肩と言われるセカンド送球では、2回に1.88秒をマーク。高木の最速も1.90秒とほとんど差はなかったが、フットワークとボールの勢いは明らかに松川の方が上だった。

 打撃でも第1打席では低めのスライダーをはじき返してセンター前ヒットを放ち、2打席目は外寄りのチェンジアップをライト前に運んで2安打をマーク。左足をかなり高く上げてタイミングをとるが、ステップしても体がしっかり残っているため変化球にも対応できる。ヘッドスピードも抜群で、甘く入ればスタンドまで運びそうな雰囲気は十分だった。2本目のヒットの後には高木がワンバウンドの投球をわずかに前にこぼしたのを見逃さず、素早くスタートを切って二塁を陥れる走塁も見せ、98キロという体重を感じさせない俊敏な動きでも目立った。

 あえて一つだけ注文をつけるなら、0対0の8回裏、二死満塁で迎えた第4打席。ここはヒットでも良い場面だったが、少し力んでスウィングが大きくなり、結局ライトフライに倒れてしまったことか。試合を決める一打は次の試合で期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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