2年ぶりの開催となった選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手が多いなか、とりわけ見事な活躍を披露した投手、野手を「その日のMVP」として選出していこう。
大会5日目は以下の選手をセレクトした。
【毎日更新!センバツPHOTO】球児がきらめくセンバツのベストショットを一挙公開!
■投手MVP 鈴木泰成(東海大菅生2年):5回1/3、被安打3、0失点、3奪三振、1四球
スピードでは常総学院の秋本璃空(最速143キロ)、大川慈英(最速146キロ)の2人には及ばず139キロにとどまったが、内容では上回ると判断して選出した。
エースの本田峻也(3年)が左肩の違和感で登板を回避し、これが初の公式戦先発とのことだったが、それをまったく感じさせない堂々としたピッチングを披露。まだまだ線は細く、体重移動のスピードや下半身の粘りには物足りなさがあるものの、ゆったりとしたモーションで楽に上から腕を振ることができ、全体的なバランスの良さも目立つ。冒頭でも触れたようにストレートのアベレージは130キロ台中盤だが、球持ちが長く、聖カタリナの打者はことごとく差し込まれていた。スライダーは少し腕の振りが緩むが、130キロ近いスピードで落ちるフォークは空振りを奪えるブレーキがあった。
投手としての潜在能力の高さは抜群であり、身体が大きくなればまだまだスピードが出そうな雰囲気がある。順調に成長してスピードが140キロ台中盤くらいまでアップすれば、来年の有力なドラフト候補となる可能性は高いだろう。
■野手MVP 田辺広大(常総学院3年・6番・捕手):6打席6打数2安打
スローイングに関しては全国でもトップクラスを誇る強肩捕手を選出した。昨年秋の関東大会でも目立ったが、この冬でさらにレベルアップした印象を受ける。イニング間のセカンド送球では5回1.8秒台をマーク。強肩のひとつの定義とされる2.0秒をコンスタントに上回った。少しシュート回転するボールがあるのは課題だが、捕球から送球の流れがスムーズで、小さい動きで強いボールを投げることができる。ミットをしっかり止めるキャッチングも安定感があった。
守備の課題はブロッキング。秋本、大川の両投手が制球に苦しんだというのはあるが、5つの後逸(記録は全て暴投)は防げるものもあったように見えた。 打撃は6番だが、クリーンアップを任せられても良いレベルにある。少し反動をつける動きは大きいものの、振り出しはコンパクトで内からしっかりバットが出るスイングの軌道も長所だ。第1打席では先制点に繋がるツーベースを放つなど2安打をマーク。凡打となった打席でも打球の強さが目立った。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
大会5日目は以下の選手をセレクトした。
【毎日更新!センバツPHOTO】球児がきらめくセンバツのベストショットを一挙公開!
■投手MVP 鈴木泰成(東海大菅生2年):5回1/3、被安打3、0失点、3奪三振、1四球
スピードでは常総学院の秋本璃空(最速143キロ)、大川慈英(最速146キロ)の2人には及ばず139キロにとどまったが、内容では上回ると判断して選出した。
エースの本田峻也(3年)が左肩の違和感で登板を回避し、これが初の公式戦先発とのことだったが、それをまったく感じさせない堂々としたピッチングを披露。まだまだ線は細く、体重移動のスピードや下半身の粘りには物足りなさがあるものの、ゆったりとしたモーションで楽に上から腕を振ることができ、全体的なバランスの良さも目立つ。冒頭でも触れたようにストレートのアベレージは130キロ台中盤だが、球持ちが長く、聖カタリナの打者はことごとく差し込まれていた。スライダーは少し腕の振りが緩むが、130キロ近いスピードで落ちるフォークは空振りを奪えるブレーキがあった。
投手としての潜在能力の高さは抜群であり、身体が大きくなればまだまだスピードが出そうな雰囲気がある。順調に成長してスピードが140キロ台中盤くらいまでアップすれば、来年の有力なドラフト候補となる可能性は高いだろう。
■野手MVP 田辺広大(常総学院3年・6番・捕手):6打席6打数2安打
スローイングに関しては全国でもトップクラスを誇る強肩捕手を選出した。昨年秋の関東大会でも目立ったが、この冬でさらにレベルアップした印象を受ける。イニング間のセカンド送球では5回1.8秒台をマーク。強肩のひとつの定義とされる2.0秒をコンスタントに上回った。少しシュート回転するボールがあるのは課題だが、捕球から送球の流れがスムーズで、小さい動きで強いボールを投げることができる。ミットをしっかり止めるキャッチングも安定感があった。
守備の課題はブロッキング。秋本、大川の両投手が制球に苦しんだというのはあるが、5つの後逸(記録は全て暴投)は防げるものもあったように見えた。 打撃は6番だが、クリーンアップを任せられても良いレベルにある。少し反動をつける動きは大きいものの、振り出しはコンパクトで内からしっかりバットが出るスイングの軌道も長所だ。第1打席では先制点に繋がるツーベースを放つなど2安打をマーク。凡打となった打席でも打球の強さが目立った。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。