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MLB

【担当記者が見た大谷翔平】投打のバイオリズムが活躍の源泉。「大谷らしさ」はやはり二刀流にあり〈SLUGGER〉

斎藤庸裕

2021.03.26

投打に苦しんだ昨季を経て、今季はいよいよ二刀流本格復活に期待が集まる。写真:GETTY IMAGES

投打に苦しんだ昨季を経て、今季はいよいよ二刀流本格復活に期待が集まる。写真:GETTY IMAGES

 オープン戦とはいえ、メジャーで初めて「リアル二刀流」で臨んだ試合で、大谷翔平が渡米後自己最速の164キロを叩き出した。21日のパドレス戦、DHを解除して「1番・投手」で出場。打っては2打数2安打1四球で1番打者の仕事を全うし、投げては4回2安打1失点5奪三振。投打で試合の主役となった。

 マウンド上では打者目線となれる一方で、打席では投手心理も読み取れる。二刀流ならではの思考だ。新たに14年総額3億4000万ドル(約360億円)の超大型契約を結んだ22歳の強打者フェルナンド・タティースJr.との対戦について、大谷はこう振り返った。

「実際に投げてみて、最後のポップフライも僕の投げ損じ。ラッキーというのは正直あるんですけど、それに対してしっかりといいアングルでコンタクトしにきてるというのもありますし、ボール球を見送る時の姿勢もさすがって思うところもある。それは投げながらでもいい勉強になる」
 
 3回1死一、二塁。追い込んでからの3球目でメジャー自己最速の101.9 マイル(約164キロ)をマーク。その後、2球続けてスライダーを投じ、三飛に仕留めた。その時のスウィングだけでなく、ボールの見極め方にも注目するあたりは、「打者・大谷」の目が光っていたと言える。オープン戦での打撃絶好調の要因は、構えからのボールの見え方にある。タティースJr.の見逃し方も吸収しようとする姿勢は、さらにレベルアップしたいという貪欲さの賜物だった。

 打席で感じるものもあった。18年のサイ・ヤング賞左腕ブレイク・スネルと対戦。1安打1四球で2打席とも出塁した。

「相手としたらやりづらいのかなと思いますし、僕が相手でもDHを外されて打席にこられたら投げづらいというか、やりづらいというのはある。四球を出すわけにもいかないし、甘く攻めたらもしかしたら打たれる可能性もある」

 決して甘い球ではなかったが、1打席目は高め95マイル (約153キロ)の4シームを捉えて中前打。当然、スネルは2度目の対戦で慎重になる。スライダーとカーブを低めに集められたが、大谷は見極めて四球とした。投手として理解できる「やりづらさ」。打者として、そこを攻めない手はない。

 昨年の開幕前、二刀流について「これが普通と思ってやってきた」と話していた大谷。投打のバイオリズムが自然で、それが高いパフォーマンスを生む。大谷らしさはやはり2つが噛み合ってこそ、最大限に発揮される。

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

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