東海大相模（神奈川）の10年ぶり３度目となる優勝で幕を閉じた選抜高校野球。例年以上に好投手が多いという前評判通り、ロースコアの接戦が多く、決勝戦もそれを象徴するように３対２、サヨナラという劇的な展開だった。そんな本大会で印象に残った選手を投手、野手それぞれ５人ずつランキング形式で発表していこう。今回は野手編だ。

【“1.5倍速”に見える驚異の守備力を発揮】
●５位：大塚瑠晏（東海大相模３年・遊撃手）

　２回戦終了後に急性胃腸炎と診断されて無念のチーム離脱となったが、それまでの試合では圧巻の遊撃守備を披露し、スタンドに詰めかけたスカウト陣を魅了した。打球への反応、一歩目のスタート、ボールへのアプローチ、捕球から送球までの流れ、すべてのスピードが他の選手とは明らかに違い、一人だけ1.5倍速で動いているように見える。

　小柄でもスローイングの強さがあるというのも大きな長所だ。打撃に関してはミートのセンスはあるもののまだ力強さが物足りず、大学で力をつけてからのプロ入りという印象だが、順調に成長すれば小坂誠（元ロッテ）のようなショートになれる可能性は十分にあるだろう。
  【守備力は今大会ナンバーワン！ 大学経由でプロ入りも十分】
●４位：川上陸斗（福岡大大濠3年・捕手）

　今大会は捕手が多く目に付いたが、中でもディフェンスに関して最も安定感を感じたのがこの川上だ。2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球ではコンスタントに1.8秒台をマークし、大崎との一回戦では盗塁阻止、１点差に追い上げられた直後の二塁走者刺殺など、見事なスローイングでチームのピンチを救った。速いだけでなくコントロールも高レベルで、ミットの動かないキャッチングも光った。

　現時点でも十分ドラフト候補の実力はあるが、体がそれほど大きくなく、打撃もそこまで目立たないだけに高校の先輩で今年のドラフト候補である古賀悠斗（中央大）のように大学で実績を残してからのプロ入りが妥当ではないだろうか。

【前評判通りの資質を発揮。大型捕手として高卒プロ入りも】
●３位：高木翔斗（県岐阜商３年・捕手）

　大会前から注目度の高かった大型捕手だが、その評判通りの安定した攻守を見せた。地肩の強さに頼り過ぎることなく、しっかりと丁寧に投げられるのがまず大きな長所。捕球から送球の流れも見る度にスムースになっており、投手への返球もリズムの良さを感じる。

　バッティングは体格の割に少しスウィングが小さい点は気になるものの、小園健太（市和歌山）からもきっちりレフト前に強く弾き返すヒットを放ち、存在感を示した。フットワークの躍動感やスイングのキレは少し物足りないが、プレーの形がいいだけにまだまだ成長していきそうな雰囲気は十分だ。貴重な打てる大型捕手として、ドラフトでもそれなりの順位での指名を狙える素材と言えるだろう。