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「ベーブ・ルース以来」は間違い!? 大谷翔平の100年ぶりの“偉業”が光を当てた「リアル二刀流の歴史」とは?

THE DIGEST編集部

2021.04.28

本塁打ランキング首位で先発マウンドを任された大谷。(C)Getty Images

 現地時間4月26日(日本時間27日)に行なわれたテキサス・レンジャーズ戦で、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は「2番・投手」で先発出場。打者としては2安打3得点、投手としては初回に4点を失うも2回以降は被安打1、9奪三振の好投を見せ、1072日ぶりの勝利を飾った(スコアは9-4)。

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 前日のヒューストン・アストロズ戦で今季7号アーチを放ち、本塁打ランキング首位で登板を迎えたが、これは1921年6月13日のベーブ・ルース以来のことであり、まさにMLBの歴史にその名を刻む1日となった。「リアル二刀流」と呼ばれる投打同時出場(それも下位打線ではない!)を今の世に実現した大谷は「ベーブ・ルースの後継者」とも呼ばれ、本人も「そういった選手を引き合いに出してもらえるのはすごく嬉しい」と語っている。

 しかし、二刀流の"バトン"がルースから大谷に直接渡されたという認識に対しては「歴史を無視する誤った行為」と、MLB公式サイト『MLB.com』のレポーター兼コラムニストのアンソニー・カストロビンス氏が指摘する。

 というのも、昨年12月にMLBは、1920年から48年の間に運営されていたアフリカ系アメリカ人による7つの野球リーグ「ニグロリーグ」について、MLBと同等の地位を与えるとともに、このリーグでの記録をMLBのものとする決定を下しており、その中には多くの「二刀流」選手が存在したからだ。
 
 MLBの公式野球史家を務めるジョン・ソーン氏によれば、ニグロリーグは人手が不足になりがちであり、ゆえに多くの選手が複数のポジションをこなしていたという。ダブルヘッダーにおいて最初の試合では捕手を務め、次戦では自身がマウンドに立って完封し、打席ではグランドスラムを放ったテッド・ラドクリフの他、投手でありながら見事なバットさばきを見せるレイ・ブラウン、ヒルトン・スミスら、多くの実例が存在するのだ。

 その中でも、カストロビンス氏は、最も優れていた「二刀流」選手として、4年連続最多勝勝利となった一方で打率4割超を記録したブレット・ジョー・ローガン、「マエストロ」と呼ばれたキューバ人のマーティン・ディーゴ、そして投手として7割超の勝率を誇り、打撃でも大活躍したレオン・デイの3人を紹介している。

 そして、彼らが活躍した時系列を踏まえ、「大谷を最高の"2ウェイプレーヤー"と称える上で、『ベーブ・ルース以来の』ではなく、『レオン・デイ以来の』と言わなければならない」と主張した。

 同記事では、カンザスシティにあるニグロリーグ野球博物館のボブ・ケンドリック館長の「大谷がもたらした興奮が、『ルースだけでない』ことを世に知らしめ、これまで人々が知ることのなかった伝説的な選手にスポットライトを当てるだろう」という期待のコメントも紹介されている。

構成●THE DIGEST編集部
 
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