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MLB

投手・大谷翔平の劇的進化。被打率「.000」のスライダーの曲がり幅は”ホームベース超え”のMLB4位!

THE DIGEST編集部

2021.04.29

投手・大谷も確かな成長。スライダーの進化からその一端を探る。(C)Getty Images

投手・大谷も確かな成長。スライダーの進化からその一端を探る。(C)Getty Images

 現地時間4月26日、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、敵地で行なわれたテキサス・レンジャーズ戦に「2番・DH」で出場。打ってはセーフティバントを含む2安打1四球で3得点、投げては初回に4点を失いながらもメジャー自己最多タイの5連続三振を含む9奪三振を記録し、1072日ぶりの勝利投手となった。

“投手・大谷”といえば、圧巻の剛速球もさることながら、切れ味抜群のスプリッターも決め球だ。今季記録している23奪三振のうち8割近くの18個を、伝家の宝刀で記録している。しかし今季、大きく進化している球種がある――。スライダーだ。

 26日の4回裏、2者連続三振を取って左打者のブロック・ホルトを迎えた場面、大谷はフルカウントから最後は外角のバックドアスライダーで見逃し三振を奪った。このシーンは大きな話題を呼び、「ピッチングニンジャ」の愛称で知られる投球分析家ロブ・フリードマン氏は「オオタニのバカげた82マイルのバック・フロント・スライダー」と題したツイートを投稿。スポーツ大手メディア『The Athletic』のァビアン・アルダヤ記者も、「ショウヘイ・オオタニによるエグいバックドアスライダー」と脱帽していた。

 有識者たちを沸かせた”魔球”は、実はデータから見ても凄い。何と、大谷のスライダーの横変化量19.6インチ(49.8cm)はメジャー全体4位に入る「ブーメランスライダー」なのだ。
 

 数字を聞いてもピンと来ないかもしれない。だが、ホームベースの横幅が43.2cmと言われれば凄さが分かるのではないか。簡単に言えば、大谷のスライダーはホームベースの端から端の、さらに先まで曲がりまくっているのである。

 もちろん、ただ変化量が大きいだけなら意味はない。しかし、大谷のスライダーは今季の被打率が.000(!)、空振り/スウィング率50.0%(!)と驚異的な結果を残しており、スプリッターと並ぶ大きな武器となっている。

 もっとも、メジャー1年目の2018年も、スライダーの横変化量は全体14位に入るなど曲がり幅は大きかった。同年が15.1インチ(38.4cm)だったことを踏まえると、進化している様がうかがえるのではないか。

 先日、大谷の4シームの回転数が高くなっているというニュースが話題を集めたが、スライダーも同じ傾向を見せている。1年目はMLB平均を下回る2319回転/分だったのが、今季は2550回転/分と平均以上になっており、こうした部分も先の好成績につながっているのは間違いないだろう。

 面白いこと26日の試合後にあった。カッターのような速いスライダーを投げていたのではとオンライン会見で訊かれた大谷は、「あまり気にしていないというか。小さくて速いのと、大きく曲がるスライダー。どちらのスライダーでもありますし、カットとも言えるかなと思う。あまり呼び方はどっちでもいいかなと思っています」とコメント。そしてこの発言を受け、スタットキャスト(弾道測定機器)で当初はスライダーに分類されていたボールが一部『カッター』としてカテゴライズされたのである。

 ボールの改良だけでなく、新たなレパートリーを、二刀流をこなしながら加える。改めてその才能、努力たるや、常人では計り知れないものだろう。次回以降の登板でどんな姿を見せてくれるのか、今からワクワクしてならない。

構成●THE DIGEST編集部
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